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こんにちは、ももやまです。
今回は、対角化の中でも、直交行列を用いた対角化についてのまとめです。
前回の記事(第16羽 行列の対角化)はこちら↓
目次 [hide]
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1.直交行列で対角化できる条件
直交行列の対角化を行うためには通常の対角化に比べ、対角化を行う行列
行列
もちろん直交行列で対角化できるような行列(つまり実対称行列)は普通に対角化を行うこともできます。
実対称行列についてはこちらの記事を、直交行列についてはこちらの記事をご覧ください。
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2.直交行列の対角化(重解なしの場合)
では、まずは固有値の重解がない場合の例題を解きながら直交行列の対角化の流れを理解しましょう。
例題1
行列
解説1
行列
なので、直交行列を用いた対角化を行うことができます。
固有値を
(固有値を出すまでは通常の対角化と同じ流れです。)
つぎに、固有ベクトルを求めていきます。
前回は正則行列
まず、固有値が1のときの固有ベクトルを求めましょう。
固有値が1のときの固有ベクトルは、
固有ベクトル
つぎに固有値が6のときの固有ベクトルを求めましょう。
固有値が6のときの固有ベクトルは、
大きさを1に正規化した固有ベクトル
ここで
それぞれのベクトルは正規化済なので大きさが1である確認は不要です。
あとは
よって、
さて、先ほど固有値の異なる固有ベクトル
実は、実対称行列の場合、異なる固有値に対する固有ベクトルは必ず直交します。簡単に証明してみましょう。
[証明] (余裕ない人は飛ばしてOKです)実対称行列
ここで内積には、
さらに実対象行列なので、
さらに、
なので、
ここで、固有値
異なる固有値に対する固有ベクトルは必ず直交する。実対称行列と固有ベクトルの直交性
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3.直交行列の対角化(重解ありの場合)
つぎに固有値が重解となる場合の直交行列を用いた対角化について説明していきたいとおもいます。
固有値が重解の場合、同じ固有値に対する固有ベクトルは直交していないため、グラムシュミットの直交化法を用いて同じ固有値同士の固有ベクトルを直交化させる必要があります。
グラムシュミットの直交化を忘れてしまった(orよくわかんない)という人はこちらの記事で確認をお願いします↓
例題2
行列
解説2
まずは、いつもどおり固有値を求めていきます。
固有値を
つぎに固有ベクトルを求めていく。
(1) 固有値が1(2重解)のとき(2重解)
ここで、ベクトル
よって、
よって、正規直交化された固有ベクトルは、
(2) 固有値が7のとき
重解ではないのでただ正規化するだけでOK。
大きさを1に正規化した固有ベクトル
よって、
4.練習問題
では、2問ほど練習をしましょう。
1問は2次正方行列、もう1問は3次正方行列です。
練習1
行列
練習2
行列
5.練習問題の答え
対角化したあとは必ず
解説1
固有値を
つぎに、
(1) 固有値が2のとき
固有ベクトル
(2) 固有値が4のとき
固有ベクトル
よって、
解説2
固有値を
ここで、
つぎに、
(1) 固有値が4(2重解)のとき
ここで、ベクトル
よって、
よって、正規直交化された固有ベクトルは、
(2) 固有値が-2のとき
重解ではないのでただ正規化するだけでOK。
大きさを1に正規化した固有ベクトル
よって、
6.さいごに
今回は、直交行列を用いた対角化について説明しました。
直交行列の対角化は、2次形式を標準形にする際に必ず使うので覚えておきましょう。
また、直交行列
次回は行列の対角化の応用として行列の
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