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※1 この記事は、人事経験のない理系院卒の社会人2年目が、自分の経験、および周りの人の経験談や社会人の先輩の話を元をベースに作成しております。その点をご了承の上、読んで頂けると幸いです。
※2 本記事では、
- 就活用の研究概要 → インターンシップや本選考の際にESに記載したり、面接で話す際に言う研究概要
- 学術用の研究概要 → 学会の原稿や論文執筆時に書く研究概要
と表現します。
こんにちは、ももうさです!
この記事では、研究概要についてのESの書き方をまとめています!
「これから初めてESで研究概要について書くぞ!」という人も「何回かESを書いたけど、研究概要についてどう書けばいいかまだわからない」という人も、是非ご覧ください!
※ ESをまだ書いたことがない人、もしくは自己分析、企業分析をせずにESを書こうとしている人は、この記事を読む前に、まずは下の記事をご覧ください。ESを書く前のあなたに、私が伝えたいことをまとめています。
目次
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1. 就活用の研究概要を書く前に知ってほしいこと
「ESで書く研究概要…? 普段の研究で書いている研究概要をコピペすればいいや」と思っている人がいれば、今すぐその考えを改めてください。
就活で使う研究概要は「学会の原稿や論文執筆時に書くアブスト」とは別ものです。たとえ自分の研究が内容的に大きく評価されていた[1]例えば、国際会議の査読を通った、もしくは学会で受賞したものなど…。ものでも、(論文を書くときと)同じノリで就活用の研究概要を作ると、企業からあまり高評価を得られないこともあります。
その理由は、「ESで書く研究概要」と「学会の原稿・論文で書く研究概要」では見られるポイントが異なるからです。
そこでこの章では、「どのような点を注意して、ESの研究概要を書けば企業に評価されるか」について見ていきます。
(1) ESの研究概要は、中学生でもわかるレベルで書こう!
まず、当たり前と言えば当たり前醸しませんが「学会の原稿/論文で書く概要(アブスト)」と、「ESの研究概要」は、見る人が違います。
そのため、卒論の概要や学会の原稿と同じノリでESの研究概要を書くと、内容が十分に伝わらない問題が発生することがあります。
具体的にどのような問題が発生するか、まずはこちらの会話をご覧ください。
--- ポケモンに詳しいBくんとの会話 ---
Aくん「実はね、アイテムを使わずに個体値が6Vのポケモンが誕生したんだ!」
Bさん「え、個体値が6V!? すごすぎじゃん。何回くらい厳選したん!?」
--- ポケモンをあまり知らないCさんとの会話 ---
Aくん「実はね、アイテムを使わずに個体値が6Vのポケモンが誕生したんだ!」
Cさん(個体値…? 6V…? 一体何だろう…)
「個体値が6Vのポケモンが誕生した」という内容、Bさんにポケモンに詳しい人であればものすごいことであることが分かると思います[2] … Continue reading。
しかし、Cさんのようにポケモンを全く知らない人にとっては、どれくらいすごいことなのかが全く分かりません。
このように、言い方・伝え方を相手によって変えないと、相手によっては全く通じないといった現象が発生します。そのため、相手の状況に合わせて伝え方を変える必要があります。
これは「ESで研究概要を書くとき」も同じです。
学会の原稿や論文など、学術的な要素で使う研究概要は、専門家や同じ分野の研究者のような「その道のプロ」が見るものです。そのため、専門用語や数式などを使って、正確かつ厳密に書く必要があります。
一方、就活での研究概要は、研究分野に詳しくない人や、理系出身ではない人も見るものです。そのため、その道に詳しくない人でも分かるレベルで分かりやすく書く必要があります。
(※ 厳密性は重視しなくてOK)
なので、ESで研究概要を書くときは、中学生が概要を見て、どんなことをしているかが分かるように書くというのを意識しましょう。
(2) 評価されるポイントの違い
「学会の原稿/論文で書く概要(アブスト)」と、「ESの研究概要」は、評価ポイントも変わることも抑えておきましょう。
[i] 論文執筆時に書く概要 → 研究の中身だけが評価対象
「学会の原稿/論文で書く概要(アブスト)」では、その研究に対する新規性、有効性、信頼性が評価ポイントとなります。つまり、研究の中身だけが評価対象です。
[ii] 就活で書く研究概要 → あなた自身の研究への取り組みも評価対象
一方、ESで書く研究概要では、主にあなた自身の研究への取り組み方が評価対象となります。
というのも、研究の取り組み方を見ることで、ソフトスキル(社会人として仕事を取り組むための土台となるスキル)の度合いを確認することができるからです。[3]研究の中身だけでは、"その人の研究分野に関する専門的なスキル" や、"その分野に対して成果を出したことがある" … Continue reading
そのため、字数制限にもよりますが、
- 与えられた課題を解決する際にどのような工夫をしたか
- 問題が発生した際に、どのように解決したのか
- 学会発表での成果 (査読をパスした、学会で賞を得たなど)
- 実際に研究をしてから、どのようなソフトスキルを身に着けたのか
などを加え、研究の中身だけでなく、あなた自身の研究への取り組み方も研究概要の中に入れるようにしましょう。
(3) まとめ - 就活用の研究概要の違い
では、就活用の研究概要がどのように違うのか、学会・論文用の研究概要と比較して表にしました。
ポイント | 就活用の研究概要 | 学会・論文用の研究概要 |
---|---|---|
想定すべき読者 | 研究内容に詳しくない人 文系出身の人 | その道のプロ (専門家・同じ分野の研究者) |
内容のレベル | 正確性よりも、分かりやすさ重視 (中学生が分かるレベルで、専門用語、数式は避ける) | 正確性を重視する (専門用語や数式を使い、厳密に書く) |
採点ポイント | 研究の中身 (研究の新規性、有効性、信頼性) | 研究の取り組み方 (工夫したもの、研究で得た自分のソフトスキルなど) |
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2. ESで書く研究概要の作り方
ここからは、ESの研究概要をどう書いていけばいいかについて、実際に見ていきましょう。
- 要素の書き出し
- 要素を文章にする
- 添削をお願いする
(1) まずは要素の箇条書きだし [STER法]
研究概要を書く際には、雛形(フレームワーク)としてSTER法を使いましょう。
STER法では、自分の研究概要を "Situation", "Task", "Example", "Result" の4つの要素を使って説明します。
- Situation: 自分の研究している分野についての説明
- Task: その分野で、どんなことが課題なのか(=従来研究の問題点など)
- Example. 具体例色々
- 2で書いた課題を、どんな点に着目して解決したか
- 研究の際に直面した問題と、その解決方法
- Result. 成果・得られたもの
- 具体的にどんな成果が得られたか
(なるべく数字などで定量的に分かりやすく) - 受賞、査読を通ったなど
- 研究で自分が得たスキル(ソフトスキル)
- 具体的にどんな成果が得られたか
とは言っても、いきなり1から文章を書くのは少ししんどいと思うので、まずはそれぞれの要素ごとに箇条書きで自分の研究について列挙していきましょう。
STER法は、(企業の人が) 読みやすい研究概要を簡単に作成出来るのでオススメです!
(2) 各要素の書き出し方
つぎに、各要素でどのようなことを説明すればいいかについて、説明します。
※ この先書く「列挙例」の研究内容は、説明用に作成したものです。そのため、実際に存在する研究とは関係がありません。
[1] Situation: 自分の研究している分野について説明
ここでは、自分の研究している分野について、以下の3つを満足するような内容を中学生でもわかるレベルで書きましょう。
- どんな研究テーマに関する研究をしているか
- 研究テーマの中でも、具体的にどのような研究をしているか
- その研究は実社会にどのように役立つか
- どんな研究テーマに関する研究をしているか
→ 物体の形状をコンピュータ上で正確に表現する技術(形状復元) - 研究テーマの中でも、具体的にどのような研究をしているか
→ 水中にある物体の形状を、水中から物体を取り出すことなく正確に求める研究 - その研究は実社会にどのように役立つか
→ 医療系。特に内視鏡手術、MRIやCTスキャン
[2] Task: 研究の際の課題
ここでは、[1] Situation で書いた研究内容に関する課題を書きます。
この部分は、従来の手法での問題点を課題とするのが個人的には書きやすいかなと思います。
- 水中という特殊な環境下で物体の形状を求める(形状復元)する必要がある
- 水から出さず、水中で形状復元をする手法は難しい問題である。
[3] Example. 課題解決のための具体的なエピソード
ここからは、自分が研究課題をどのように解決したかを具体的に書いていきます。
この部分では、以下の2つの内容を盛り込んで書くのが個人的なおススメです。
- 研究内容的なアプローチ
(自分の提案手法について書く) - 自分自身が研究のときに工夫したこと
(研究の際に直面した問題と、その問題を解決するために自分がどう工夫したか)
- 研究内容的なアプローチ(提案手法)
→ 形状を求める際に、目に見える光だけでなく、目に見えない光も利用した - 自分自身が研究のときに工夫したこと
→ 実験室を共同で使うので、実験装置が使える時間を有効活用するために、下準備を念入りに行うようにした。
[4] Result. 成果・得られたもの
最後に、「この研究の成果」と「自分が得たもの」について書きます。
[4-i] 成果
まず、成果ですが、この部分は数字を使って書けるのであれば、数字を使った定量的な表現にしましょう。
- △ 微妙な例:従来の手法に比べて、処理時間が短くなりました。
- 〇 良い例 :従来の手法に比べて、処理時間の20%短縮に成功しました。
就活で書ける研究成果がないよ…、という人も安心してください!
完全な成果でなくても、現段階までの進捗、研究を通じて判明していることと今後の目標をこの部分に記述すれば問題はありません。
--- 例 ---
- 特定の条件下に限定して成果が出ている場合
→ 「特定の条件下では成果が出ていること」をアピール - 今考えてる研究の実験が失敗に終わっている場合
→ 「今考えているアプローチは有効ではないことが判明していること」と「他のアプローチを検討中」ということをアピール。
※ いずれにしても、「成果がまだ出ていませんが…」とネガティブに書く必要は全くなし!
[4-ii] 自分が得たもの … 重要!
実際に研究をして、自分が得たもの(ソフトスキル)についても書きましょう!
この部分は、課題解決のための具体的なエピソード([3] Example部分)で書いた「自分自身が研究のときに工夫したこと」を実際にこなすことで、こんなスキルが身に着きましたよ~という流れで書くのがおススメです。
- 研究内容的なアプローチ
(自分の提案手法について書く) - 自分自身が研究のときに工夫したこと
(研究の際に直面した問題と、その問題を解決するために自分がどう工夫したか)
[4-i] 成果
- 従来の研究手法より、形状の推定精度の誤差を1割減らすことが出来た。
[4-ii] 得られたもの
- 課題解決のための計画力が身に着いた
(実験室を使える時間を最大限に活かすために、下準備を念入りするようにしたため)
(3) STER法で書き出した要素を文章にする
ここまで来ると、STER法のそれぞれの要素を箇条書きにしたものが出来てくると思います。
この段階まで来たら、この箇条書きを文章にしていきましょう。
以下に「400文字以内」の指定があった場合の研究概要の例を記します。
物体の形状をコンピュータ上で正確に表現する形状復元に関する技術の研究に従事しています。その中でも、私は水中にある物体の形状を正確に求める研究に取り組んでいます。この研究は内視鏡手術の支援、MRIやCTスキャンに応用が可能ですが、水中という特殊な環境下で、正確な形状を求めることは難しい問題です。そこで私は、目に見える光と目に見えない光の両方を組み合わせて、水中にある物体の形状を正確に求める方法を考えました。また、研究の際、実験室を共同で使うため、実験装置が使える時間が限られていました。そのため、実験前に下準備を念入りに行い、実験室を使う時間を最大限有効に活かせるよう工夫しました。研究の結果、従来の方法よりも形状算出誤差を1割削減することが出来ました。さらに、学会発表にて優秀賞を頂き、本研究は国際会議でも発表予定です。また、実験前の下準備をする経験から、課題解決のための計画力が身につきました。(400文字 / 400文字制限)
--- 各色のSTER法のどの要素かの対応 ---
- Situation: 研究している分野、詳細テーマと、自分のテーマが実世界でどう役立つか
- Task: その分野や、詳細テーマの従来手法の問題点
- Example: 従来手法の問題点を解決するための自分の提案手法、研究のときに工夫した点(研究に関する色々)
- Result: 研究の成果、自分が得たスキル
STER法のそれぞれの要素が文章のどの部分にあるかを色をつけて表記しているので、「STER法のそれぞれの要素をどれくらい入れようかな」と迷っている人は、是非参考にしてください。
※ この部分で書いてある研究内容は、説明用に作成したものです。そのため、実際に存在する研究とは関係がありません。
(4) 書いた後は添削してもらおう!
就活用で使う研究概要について一通り書け終えたら、書いた文章を他の人に見てもらいましょう!
※ 自己PRに限らず、ESの内容の添削は重要です!
- 研究概要に限らず、ESの添削では2人以上の人[4] … Continue readingに見てもらいましょう。
- 研究概要については、可能であれば最低1人は自分が研究している分野を知らない人に見てもらいましょう。
(その分野について知らない人でも、内容が伝わるかどうかの確認)
添削に出すときは、最低でも以下の4つのポイント + 自分がきになるポイントについて見てもらうようにお願いしましょう。
- 伝わりやすい構文 (STER法) になっているか。
→ 「自分の研究概要 → 研究の課題 → 課題に対するアプローチ・工夫した点 → 結果・得たもの」の順になっているか - (自分がやっている研究を全く知らない人が見て、)研究内容が頭に入ってくるか
→ そのESに対して深掘りの質問する意欲が湧くか - 研究概要を見て、「この人は仕事で活躍できそうだな」と思えるか。
- 誤字脱字、伝わりにくい表現がないか
このポイントで見てもらうことで、企業から高評価がもらえるESにさらに近づきます!
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3. まとめ
では、今回のまとめを箇条書きにて行っていきましょう。
(1) 就活用の研究概要を書く際の注意点
就活用の研究概要は、「読み手が研究に詳しくないこと」を意識して書け!
- 研究テーマについて詳しくない人でも分かるように書こう!
(専門用語は控えて、中学生位の人でも分かるレベルで書く) - 企業側は "研究自体の成果" よりも、"研究をどう取り組んだか" の方に着目することが多い!
(2) 研究概要の書き方
STER法を使って、以下の要素に該当する内容を箇条書きにて書く。
- Situation: 自分の研究している分野についての説明
- Task: その分野で、どんなことが課題なのか(=従来研究の問題点など)
- Example. 具体例色々
- 2で書いた課題を、どんな点に着目して解決したか
- 研究の際に直面した問題と、その解決方法
- Result. 成果・得られたもの
- 具体的にどんな成果が得られたか
(なるべく数字などで定量的に分かりやすく) - 受賞、査読を通ったなど
- 研究で自分が得たスキル(ソフトスキル)
- 具体的にどんな成果が得られたか
箇条書きで書いたあとに、文章にする。最後に、2人以上の人(うち1人は研究テーマに詳しくない人)に見てもらえばOK!
注釈
↑1 | 例えば、国際会議の査読を通った、もしくは学会で受賞したものなど…。 |
---|---|
↑2 | 中の人はポケモンにあまり詳しくないですが、個体値について簡単に説明します。個体値は、「そのポケモン自体の生まれつきの強さ」を32段階で表したものです。また、6Vとは、ポケモンがもつ6つのステータスの個体値が最大値(32段階中の最大)であるという意味を持ちます。つまり、アイテムを使うなどの外的要因なしに6Vを引くというのは、確率 \( (1/32)^6 \) = 約10億分の1の幸運を引いたというすごすぎる現象なのです。余談ですが、2021年の年末ジャンボが当たる確率は約2000万分の1と言われています。[ソース: 四国銀行] |
↑3 | 研究の中身だけでは、"その人の研究分野に関する専門的なスキル" や、"その分野に対して成果を出したことがある" など、ハードスキル(技術的なスキル)の度合いを測ることしか出来ません。 |
↑4 | 理系の社会人先輩、文系出身の社会人先輩、研究室の先生、のように立場や出身が違う人にそれぞれお願い出来るとGoodです。(複数の視点から研究概要に問題がないか確認が可能なため。) |
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