
スポンサードリンク
こんにちは、ももやまです。
今回は、数Bの「確率分布と統計的な推測」で最も重要な分野の1つである「正規分布」についてうさぎでもわかるようにわかりやすく説明していきたいと思います。
特に後ろのほうで説明する「二項分布と正規分布」は共通テスト(センター試験)でも頻出する項目なので必ず頭にいれておきましょう。
前回の「うさぎでもわかる確率分布と統計的な推測」3日目はこちら↓
目次 [hide]
スポンサードリンク
1.正規分布ってなに?
(1) コイントスと正規分布
突然ですが、復習です。
復習問題
コイントスを100回やって表が出た回数を
復習解答
コインを投げる試行は「表が出る」か「表が出ない(裏が出る)」かの2パターンの結果しか起こりません。
ということは、表が出る回数
表が出る確率は、1/2 なので、平均
コインを100回投げる操作を繰り返すと……
では、「コインを100回投げる操作」を何セットか試して、表が出た回数の頻度(相対度数)をヒストグラムにしてみましょう*1。
1,000セット行ったとき
まずは1,000セット試したときのヒストグラムを見てみましょう。
縦軸が相対度数、横軸が表が出る回数を示しています。
ヒストグラムが山のような形となりましたね。
では、セット数を100倍の100,000セットにしてみましょう。
100,000セット行ったとき
つぎに100,000セット試したときのヒストグラムを見てみましょう。
先程と同じく縦軸が相対度数、横軸が表が出る回数を示しています。
先程よりもきれいな山の形となりましたね。
もう少し回数を増やして、100万セットにしてみましょう。
1,000,000セット行ったとき
下が100万セットの場合の結果です。
このヒストグラムの縦の区切り線を消すと……、
このような平均付近は大きく、平均から離れれば離れるほど確率が減っていくような山になりますね。
実は、この山のような分布こそが正規分布なのです!
スポンサードリンク
2.正規分布と標準正規分布
(1) 標準正規分布とは
正規分布のグラフの形(分布の仕方)は、平均
平均
正規分布の中でも平均が0で、標準偏差が1の正規分布を標準正規分布
標準正規分布は、前回説明した確率密度関数の1つです。
数式で表すと標準正規分布の確率密度関数
確率密度関数
つまり、正規分布に従う確率変数
(大学で習う2重積分を使えば解くことができますが、それでもめんどい積分です。)
そのため、共通テストなどの入試や資格試験などでは、計算結果があらかじめ表で与えられています。
具体的には、正規分布に従う確率変数
正規分布表は、こちらからダウンロードできるので練習問題などを解く際にぜひご利用ください。
(2) 正規分布表の読み方
では、共通テストで重要な正規分布表の読み方について、いくつかパターンわけして紹介していきたいと思います。
パターン1 xが 0 以上 z0 以下になる確率(基本パターン)
上の表の
例えば、
- 整数+小数第1位は0.5なので、縦は0.5の部分
- 小数第2位は0なので、横は0.00の部分
を見ることで、
パターン2 xが -z0 以上 0 以下になる確率(負の場合)
標準正規分布は
そのため、
正規分布表に
例えば、
よって、
パターン3 xが -z0 以上 z1 以下になる確率(2つの面積の足し合わせ)
範囲が負〜正まで入っている場合です。
この場合は、マイナス〜0、0〜プラスの2つに分けてから足し合わせたものが確率となります。
例えば、
パターン4 xが z0 以上 z1 以下になる確率(2つの面積の引き算)
つぎに引き算をするパターンです。
この場合、0 から
例えば、
なお、負の場合(例:
例えば、
パターン5 xが正 / 負になる確率 = 0.5 を使うパターン
最後に、
確率密度関数は
そのため、
全体の面積は1(確率の合計は1)なので、青色面積部分、赤色面積部分の面積は半分ずつの0.5になりますね。
つまり、正になる確率と負になる確率はともに0.5になることがわかりますね。
これを使うことで、
例えば、
よって、
(
また、パターン2を組み合わせて
例えば、
(3) 標準正規分布 → 正規分布の変換
共通テストなどで出てくる正規分布は、平均0、標準偏差1の標準正規分布
しかし、試験では標準正規分布以外の確率は事前に与えられません。
そこで、平均
(i) 平均を0に補正する
まず、平均を0に補正する必要があります。
平均が
つまり、
(ii) 標準偏差を1に補正する
平均を0にしたあとは、標準偏差を1に補正する必要があります。
標準偏差が
つまり、
また、
(i), (ii) の操作、つまり平均
(4) 正規分布表の日本語的な意味
なお、確率変数
そのため、正規分布表を日本語でわかりやすく説明すると、正規分布に従う確率変数が『平均 〜 平均 ± 標準偏差
例えば、
この確率は、正規分布表から下のように読み取れますね。
このように、正規分布表は平均から標準偏差
平均
※ 確率変数
スポンサードリンク
3.二項分布と正規分布
最初に、「コインを100回投げて表が出る回数を記録する」セット数を増やせば増やすほどきれいな山の形になり、そのきれいな形が正規分布であると説明しましたね。
実は、「コインを100回投げて表が出る回数」のような二項分布に従う確率分布は、セット数
そこで、
例えば、「コインを100回投げて表が50回以上60回以下出る回数」を求めたい場合、二項分布だけであれば
Step1: ある確率変数
Step2:
(共通テストなどのマークテストでは書かれているので気にする必要なし!)
正規分布を用いた二項分布の確率の求め方
Step3:
Step4: 標準偏差からどれくらい大きい / 小さいのかわかるので、あとは正規分布表で確率を求めればOK!
この流れをつかむために、練習問題で実際に練習してみましょう!
4.練習問題(共通テスト練習)
では、練習(共通テスト対策)をしてみましょう!
必要であればこちらから正規分布表をダウンロードしてください。
※注意
小数の形で解答する場合、指定された桁数の1つ下の桁を四捨五入して解答してください。また、必要に応じて、確定された桁まで⓪をマークしてください。
例えば、[ ア ] . [ イウ ] に 2.5 と答えたいとき → 2.50 とする。
1個のサイコロを162回投げるときに、3の目の倍数(3か6)が出る確率を
(1) サイコロを1回投げたとき、3の目の倍数が出る確率は
(2)
⓪ 正規分布 ① 標準正規分布 ② 二項分布 ③ 確率分布
(3)
また、
(4) (3)と同じように計算することで、
5.練習問題の答え
(1)
サイコロを1回投げたときに出る目は 1, 2, 3, 4, 5, 6 のいずれかである。そのなかで 3, 6が出ればいいので確率は
(2)
サイコロを投げたときに、「3の倍数が出る」か「3の倍数が出ないか」なので、
そのため、平均
また、分散
ここで、標準正規分布になおすために、
(標準正規分布表を使える形にするために、は平均から標準偏差何個分ずれているかを表す確率変数
[念の為]
(共通テストはマーク式なので途中式を見られません。なので、「平均から標準偏差何個分ずれているか」を求めるという考えでOKです。)
また、
※ 正規分布での平均以上 / 平均以下になる確率は0.5になることは必ず頭に入れておこう!
よって、
日本語に直すと、
- 「平均 (54) - 標準偏差1個分 (6)」〜「平均 (54)」となる確率
→「平均」〜「平均 ± 標準偏差1個分」になる確率を正規分布表から読み取る
→ 0.3413 - 「平均 (54) 以上となる確率」
→ 0.5
の2つの和で計算できる。
よって、
(スセ:84)
(4)
(3) と同じように
まず、45, 48がそれぞれ平均から標準偏差何個分ずれているかを求める。
(先程の
が45以上
→ が「平均 (54) - 標準偏差1.5個分 (6 × 1.5 = 9) 」以上となる確率 が48以下
→ が「平均 (54) - 標準偏差1個分 (6) 」以下となる確率
なので、「平均 (54) - 標準偏差1.5個分 (6 × 1.5 = 9) 」〜「平均 (54) - 標準偏差1個分 (6) 」の範囲になる確率、つまり下の図の黄色部分の面積を求めればOK。
黄色部分の面積を日本語で表すと、
- 「平均 (54) - 標準偏差1.5個分 (9)」〜「平均 (54)」となる確率
→「平均」〜「平均 ± 標準偏差1.5個分」になる確率を正規分布表から読み取る
→ 0.4332 [赤色+黄色部分] - 「平均 (54) - 標準偏差1個分 (6)」〜「平均 (54)」となる確率
→「平均」〜「平均 ± 標準偏差1個分」になる確率を正規分布表から読み取る
→ 0.3413 [赤色部分]
※ (3)で読み取っているので新たに読み取らなくてOK
の差(赤色+黄色部分 - 赤色部分)となる。
よって、
(ソタ:09)
6.さいごに
今回は、
- 正規分布・標準正規分布とはどんな分布なのか
- 正規分布を基本的な形である標準正規分布に直す方法
- 正規分布表の読み方・正規分布表の意味
- 二項分布と合わさった問題の解き方
についてまとめていきました。
正規分布表を使いこなせるようになれば、「確率分布と統計的な推測」のゴールが近づいてきたと言えるのでぜひ使いこなせるようになりましょう!
次回からはいよいよ「推定」に関するお話に入っていきます。
では、また次回。
(今回は復習コーナーはありません。正規分布表を用いて問題が解けるように練習しましょう。)
*1:実際に試すと時間がすごいかかるので、今回はパソコンでプログラミングして試しています。
*2:
*3:1日目で習った公式の1つであるデータ全体にある数
*4:1日目で習った公式の1つであるデータ全体にある数
*5:共通テストでは、十分に大きいと近似することは基本的に問題文にかかれているので、受験生が考える必要はありません。
*6:
関連広告・スポンサードリンク