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こんにちは、ももやまです。
今回は解析の前半で習う逆三角関数についてまとめました。
前回のロピタルの定理と同様、演習問題が若干多めです。
前回のロピタルの定理はこちらから↓
目次
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1.逆三角関数とは
たとえば、\( y = \sin x \) の逆関数を考えてみましょう。逆関数にすると、 \( x = \sin^{-1} y \) となります。
同様に \( y = \cos x \) の逆関数は \( x = \cos^{-1} y \) 、\( y = \tan x \) の逆関数は \( x = \tan^{-1} y \) となります。
\( \sin^{-1} x \not = ( \sin x )^{-1} \) に注意してください。
逆三角関数の -1 表記は、-1乗という意味ではありません。
これらの逆関数の \( x,y \) を入れ替えた、\( y = \sin^{-1} x \), \( y = \cos^{-1} x \), \( y = \tan^{-1} x \) の定義域と値域はつぎのようになります。
定義域 | 値域 | |
\[ y = \sin^{-1} x\] | \[ -1 \leqq x \leqq 1\] | \[ - \frac{\pi}{2} \leqq y \leqq \frac{\pi}{2}\] |
\[ y = \cos^{-1} x\] | \[ -1 \leqq x \leqq 1\] | \[ 0 \leqq y \leqq \pi\] |
\[ y = \tan^{-1} x\] | すべての実数 | \[ - \frac{\pi}{2} < y < \frac{\pi}{2}\] |
定義域や値域に注意が必要です。
逆三角関数の定義域は、もともとの三角関数 \( \sin x \), \( \cos x \), \( \tan x \) が取りうる値となっています。
(例えば \( \sin x = 2 \) を満たすような \( x \) なんて実数世界上には存在しませんね……。なので逆三角関数の定義域にもなっていません。)
また、値域も限定されています。
例えば、\[ \sin x = \frac{1}{2} \] を満たす \( x \) を考えます。
このとき、\( x \) の値は \( 2 \pi \) 周期で無限に存在します。
逆三角関数の値域が存在しなかった場合、逆三角関数の答えが無限に考えられてしまうため、上のように値域を限定しているのです(なるべく便利なように値域を設定するため、\( \cos x \) の値域が \( \sin x \) や \( \tan x \) とは異なっていることに注意)。
また、つぎのように逆三角関数を表記する人もいます。
\( \sin^{-1} x \) → \( \arcsin x \)
\( \cos^{-1} x \) → \( \arccos x \)
\( \tan^{-1} x \) → \( \arctan x \)
成り立つ関係
逆三角関数には次の関係が成り立ちます。
まずほぼ自明ですが、\[ \sin ( \sin^{-1} x ) = x \ \ (-1 \leqq x \leqq 1)\]\[ \sin^{-1} ( \sin x ) = x \ \ (-\frac{\pi}{2} \leqq x \leqq \frac{\pi}{2})\]\[ \cos ( \cos^{-1} x ) = x \ \ (-1 \leqq x \leqq 1)\]\[ \cos^{-1} ( \cos x ) = x \ \ (0 \leqq x \leqq \pi)\]\[ \tan ( \tan^{-1} x ) = x\]\[ \tan^{-1} ( \tan x ) = x \ \ (-\frac{\pi}{2} < x < \frac{\pi}{2})\]が成り立ちます。
ここからは、逆三角関数に成り立つ関係を示していきながら紹介しましょう。
まずは、\[ \sin ( \cos^{-1} x ) = \sqrt{1-x^2} \ \ (-1 \leqq x \leqq 1) \]を示してみましょう。
\( \cos^{-1} x = t \) とおくと、
\[\begin{align*}
\sin ( \cos^{-1} x ) & = \sin t \\ & = \sqrt{1-\cos^2 t} \\ & = \sqrt{1-\cos^2 (\cos^{-1} x)} \\ & = \sqrt{1 - x^2}
\end{align*} \] と示せます*1。
同様の方法で\[ \cos ( \sin^{-1} x ) = \sqrt{1-x^2} \ \ (-1 \leqq x \leqq 1) \]も示すことができます。
つぎに、\[\sin^{-1} x + \cos^{-1} x = \frac{\pi}{2} \ \ (-1 \leqq x \leqq 1)\]を示します。
\( x = \sin t \) とすると、\( x = \cos \left(\frac{\pi}{2} - t \right) \) と表せます。よって、\[\sin^{-1} \sin t + \cos^{-1} \cos \left(\frac{\pi}{2} - t \right) = t + \left(\frac{\pi}{2} - t \right) = \frac{\pi}{2}\]が示せます。
例題1
\[ \sin^{-1} \frac{1}{2} \ , \ \ \cos^{-1} \left( - \frac{\sqrt{3}}{2} \right) \ , \ \ \tan^{-1} \sqrt{3}\]をそれぞれ計算しなさい。
解説1
順番に解いていきましょう。
\( \sin^{-1} \frac{1}{2} \) は、\( \sin x = \frac{1}{2} \) のときの \( x \) の値はいくらですか? と言い換えることができます。
同様に、\( \cos^{-1} \frac{\sqrt{3}}{2} \) は、\( \cos x = \frac{\sqrt{3}}{2} \) のときの \( x \) の値は? と、\( \tan^{-1} \sqrt{3} \) は、\( \tan x = \sqrt{3} \) のときの \( x \) の値は? と言い換えることができます。よって答えは順番に \[ \frac{\pi}{6}, \ \ \ \frac{5}{6} \pi, \ \ \ \frac{\pi}{3} \]となります。
例題2
(1) \[ \cos ( \tan^{-1} x ) = \frac{1}{\sqrt{1+x^2}}\]を示しなさい。
(2) \[ \sin ( \tan^{-1} x ) = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\]を示しなさい。
解説2
\( \tan^{-1} x = t \) とおく。
(1) \[ \begin{align*}
\cos ( \tan^{-1} x ) & = \cos t \\ & = \sqrt{\cos^2 t} \\ & = \sqrt{\frac{1}{1 + \tan^2 t}} \\ & = \frac{1}{\sqrt{1 + \tan^2 t}} \\ & = \frac{1}{\sqrt{1 + \tan^2 (\tan^{-1} x)}} \\ & = \frac{1}{\sqrt{1 + x^2}}
\end{align*} \]と示せる。
(2) (1)の結果を使って示すのがおすすめ。\[ \begin{align*}
\sin ( \tan^{-1} x ) & = \sin t \\ & = \cos t \tan t \ \ \left(\because \frac{\sin t}{\cos t} = \tan t \right)
\\ & = \cos (\tan^{-1} x) \tan (\tan^{-1} x) \\ & = \frac{1}{\sqrt{1 + x^2}} \cdot x \\ & = \frac{x}{\sqrt{1 + x^2}}
\end{align*} \]と示せる。
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2.逆三角関数のグラフ
それぞれの逆三角関数をグラフにすると、つぎのようになります。
(1) 逆正弦関数 \( \sin^{-1} x \)
(2) 逆余弦関数 \( \cos^{-1} x \)
(3) 逆正接関数 \( \tan^{-1} x \)
逆正接関数 \( \tan^{-1} x \) は、\( y = \pm \frac{\pi}{2} \) で漸近線となっていますね。
また、グラフから、\[\displaylines{ \lim_{x \to \infty} \tan^{-1} x = \frac{\pi}{2} \\ \lim_{x \to -\infty} \tan^{-1} x = -\frac{\pi}{2} }\]であることがわかります。
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3.逆三角関数の微分
それぞれの逆三角関数の導関数を、逆関数の微分公式を使って求めることができます。
微分公式の導出
(1) 逆正弦関数の微分公式の導出
\[y = \sin^{-1} x \ \ \ \left(- 1 < x < 1 \right)\]の逆関数は、\[x = \sin y \ \ \ \left(- \frac{\pi}{2} < y < \frac{\pi}{2} \right)\]となり、\[\frac{dx}{dy} = \cos y\]となります。
あとは、逆関数の微分公式を使えば、\[
\begin{align*}
\frac{d}{dx} \sin^{-1} x & = \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\frac{dx}{dy}}
\\ & = \frac{1}{\cos y} = \frac{1}{\sqrt{\cos^2 y}} \\ & = \frac{1}{\sqrt{1 - \sin^2 y}} = \frac{1}{\sqrt{1 - x^2}}
\end{align*}
\]と導出することができます。
(2) 逆余弦関数の微分公式の導出
(1)と同様にして微分公式を導出することができます。\[y = \cos^{-1} x \ \ \ \left(- 1 < x < 1 \right)\]の逆関数は、\[x = \cos y \ \ \ \left( 0 < y < \pi \right)\]となり、\[\frac{dx}{dy} = - \sin y \]となります。
あとは、逆関数の微分公式を使えば、\[
\begin{align*}
\frac{d}{dx} \cos^{-1} x & = \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\frac{dx}{dy}}
\\ & = \frac{1}{-\sin y} = \frac{1}{- \sqrt{ \sin^2 y}} \\ & = - \frac{1}{\sqrt{1 - \cos^2 y}} = - \frac{1}{\sqrt{1 - x^2}}
\end{align*}
\]と導出することができます。
(3) 逆正接関数の微分公式の導出
\[y = \tan^{-1} x \]の逆関数は、\[x = \tan y \ \ \ \left(- \frac{\pi}{2} < y < \frac{\pi}{2} \right)\]となり、\[\frac{dx}{dy} = \frac{1}{\cos^{2} y} \]となります。ここで、\[\frac{1}{\cos^{2} y} = 1 + \tan^{2} y\]なので、逆関数の微分公式より\[
\begin{align*}
\frac{d}{dx} \tan^{-1} x & = \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\frac{dx}{dy}}
\\ & = \frac{1}{\frac{1}{\cos^{2} y}} = \frac{1}{1 + \tan^{2} y} \\ & = \frac{1}{1 + x^2}
\end{align*}
\]と導出することができます。
逆三角関数の微分公式\[\displaylines{
\frac{d}{dx} \sin^{-1} x = \frac{1}{\sqrt{1 - x^2}} \\
\frac{d}{dx} \cos^{-1} x = - \frac{1}{\sqrt{1 - x^2}} \\
\frac{d}{dx} \tan^{-1} x = \frac{1}{1+x^2}
}\]
では1問例題を解いてみましょう。
例題3
\[ y = \sin^{-1} \frac{x}{5} \]の導関数をもとめなさい。
解説3
合成関数の微分を使う。 \( t = \frac{x}{5} \) とする。
すると、\[y = \sin^{-1} t , \ \ t = \frac{x}{5} \]となる。\[ \frac{dy}{dt} = \frac{1}{\sqrt{1 - t^2}} = \frac{1}{\sqrt{1 - \left(\frac{x}{5}\right)^2}} = \frac{5}{\sqrt{25 - x^2}}, \ \ \frac{dt}{dx} = \frac{1}{5} \]となるので、\[ \frac{dy}{dx} = \frac{dy}{dt} \cdot \frac{dt}{dx} = \frac{5}{\sqrt{25 - x^2}} \cdot \frac{1}{5} = \frac{1}{25 -x^2} \]となる。
つぎのような定数 \( a \) を含んだつぎの公式も頭に入れておくと計算がスムーズになるので覚えていたらいいかもしれません(合成関数の微分公式を使います)。
定数 \( a \) を含んだ逆三角関数の微分公式\[\displaylines{
\frac{d}{dx} \sin^{-1} \frac{x}{a} = \frac{1}{\sqrt{a^2 - x^2}} \\
\frac{d}{dx} \cos^{-1} \frac{x}{a} = - \frac{1}{\sqrt{a^2 - x^2}} \\
\frac{d}{dx} \tan^{-1} \frac{x}{a} = \frac{a}{a^2+x^2}
}\]
例題4
関数 \( f(x) = \sin^{-1} x + \cos^{-1} x \) について、つぎの問いに答えなさい。
ただし、\( -1 \leqq x \leqq 1 \) とする。
(1) \( f(0), f(\frac{1}{2}) \) の値を求めなさい。
(2) 導関数 \( f'(x) \) を求めなさい。
(3) 関数 \( f(x) \) のグラフを図示しなさい。
解説4
(1) \[ f(0) = \sin^{-1} 0 + \cos^{-1} 0 = \frac{\pi}{2}\]\[ f(\frac{1}{2}) = f(x) = \sin^{-1} \frac{1}{2} + \cos^{-1} \frac{1}{2} = \frac{\pi}{6} + \frac{\pi}{3} = \frac{\pi}{2}\]
(2) \[ f'(x) = \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} - \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} = 0\]
(3) (2)より、\( x \) の値に関わらず値が不変なことがわかる。また、(1)より \( f(x) = \pi /2 \) となることがわかる。よってグラフは、
となる。
4.逆三角関数の積分公式
上の微分公式から、積分公式も得ることができます。
逆三角関数の積分公式\[\displaylines{
\int \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} dx = \sin^{-1} x + C \\
\int - \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} dx = \cos^{-1} x + C \\
\int \frac{1}{1+x^2} dx = \tan^{-1} x + C \\
}\]ただし、\( C \) は積分定数。
皆さんは数学3で、\[\int^\frac{1}{2}_0 \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} dx
\]のような定積分を計算したことがありますか。
高校までは、\( x = \sin t \) とおいて、置換積分をしていましたね。
しかし、これも上の積分公式を使うことですぐに答えを出すことができるようになります。
逆三角関数を使った場合\[\int^\frac{1}{2}_0 \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} dx =
\left[ \sin^{-1} x \right]^\frac{1}{2}_0 = \frac{\pi}{6}
\]とすぐに使える求めることができます。
おまけ(数3でのやり方)
\( x = \sin t \) とおくと \( dx = \cos t \ dt \) となり、積分範囲は \( 0 \to \frac{1}{2} \) から \( 0 \to \frac{\pi}{6} \) となる。
よって、\[\begin{align*} &
\int^\frac{1}{2}_0 \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \ dx \\ = &
\int^\frac{\pi}{6}_0 \frac{\cos t}{\sqrt{1-\sin^2 t}} \ dt \\ = &
\int^\frac{\pi}{6}_0 \frac{\cos t}{\sqrt{\cos^2 t}} \ dt \\ = &
\int^\frac{\pi}{6}_0 1 \ dt = \left[ t \right]^\frac{\pi}{6}_0 \\ = &
\frac{\pi}{6}
\end{align*} \]と求められます。
5.練習問題
では、実際に何問か解いてみましょう。
練習1
次の(1)~(3)の計算結果を答えなさい。
(1) \[ \sin^{-1} \frac{\sqrt{2}}{2} + \cos^{-1} \frac{1}{2} + \tan^{-1} \left(- \frac{\sqrt{3}}{3} \right) \]
(2) \[ \sin^{-1} \left( - \frac{\sqrt{3}}{2} \right) + \cos^{-1} 0 + \tan^{-1} (-1) \]
(3) \[ \tan^{-1} \frac{1}{3} + \tan^{-1} \frac{1}{2} \]
練習2
次の(1)~(3)の導関数をもとめなさい。
(1) \[ y = \tan^{-1} \frac{x}{3}\] (2) \[ y = 3 \sin^{-1} x \cos^{-1} x\] (3) \[ y = \tan^{-1} \left( \frac{1}{\sqrt{2}} \tan \frac{x}{2} \right) \]
練習3
次の(1)~(3)の定積分、不定積分をもとめなさい。
(1) \[\int^\sqrt{3}_1 \frac{1}{\sqrt{4-x^2}} dx\] (2) \[\int^3_0 \frac{x^2}{x^2+9} dx \] (3) \[\int \sin^{-1} x dx\]
6.練習問題の解答
解答1
次の(1)~(3)の計算結果を答えなさい。
(1) \[ \sin^{-1} \frac{\sqrt{2}}{2} + \cos^{-1} \frac{1}{2} + \tan^{-1} \left(- \frac{\sqrt{3}}{3} \right) = \frac{\pi}{4} + \frac{\pi}{3} - \frac{\pi}{6} = \frac{5}{12} \pi \]
(2) \[ \sin^{-1} \left( - \frac{\sqrt{3}}{2} \right) + \cos^{-1} 0 + \tan^{-1} (-1) = -\frac{\pi}{3} + \frac{\pi}{2} - \frac{\pi}{4} = - \frac{\pi}{12}\]
(3) \[a = \tan^{-1} \frac{1}{3}, \ \ b = \tan^{-1} \frac{1}{2} \]とおく。すると、\[\tan a = \frac{1}{3}, \ \ \tan b = \frac{1}{2} \]となる。
ここで、加法定理を用いると、\[
\begin{align*} &
\tan (a+b) \\ & = \frac{\tan a + \tan b}{1 - \tan a \tan b} \\ & = \frac{\frac{1}{3} + \frac{1}{2}}{1 - \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{2}} \\ & = \frac{\frac{5}{6}}{\frac{5}{6}} = 1
\end{align*} \]となるので、\[ \tan^{-1} \frac{1}{3} + \tan^{-1} \frac{1}{2} = \tan^{-1} 1 = \frac{\pi}{4} \]と求められる。
解答2
(1)
\( t = \frac{x}{3} \) とする。
すると、\[y = \tan^{-1} t , \ \ t = \frac{x}{3} \]となる。\[ \frac{dy}{dt} = \frac{1}{1+t^2} = \frac{1}{1+ \left(\frac{x}{3} \right)^2 } = \frac{9}{9 + x^2}, \ \ \frac{dt}{dx} = \frac{1}{3} \]となるので、\[ \frac{dy}{dx} = \frac{dy}{dt} \cdot \frac{dt}{dx} = \frac{9}{9 + x^2} \cdot \frac{1}{3} = \frac{3}{9 + x^2} \]となる。
(2) \[ \begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = 3 \left( \frac{\cos^{-1} x}{\sqrt{1-x^2}} - \frac{\sin^{-1} x}{\sqrt{1-x^2}} \right) \\ & = \frac{3}{\sqrt{1-x^2}} \left( \cos^{-1} x - \sin^{-1} x \right)
\end{align*} \]
(3)
\( t = \frac{1}{\sqrt{2}} \tan \frac{x}{2} \) とする。
すると、\[y = \tan^{-1} t , \ \ t = \frac{1}{\sqrt{2}} \tan \frac{x}{2} \]となる。\[ \frac{dy}{dt} = \frac{1}{1+t^2} = \frac{1}{1+ \frac{1}{2} \tan^2 \frac{x}{2}} = \frac{1}{1+ \frac{1}{2} \cdot \frac{\sin^2 \frac{x}{2}}{\cos^2 \frac{x}{2}}}, \ \ \frac{dt}{dx} = \frac{1}{2 \sqrt{2} \cos^2 \frac{x}{2}} \]となるので、
\[\begin{align*} & \frac{dy}{dx} = \frac{dy}{dt} \cdot \frac{dt}{dx} \\ = & \frac{1}{2 \sqrt{2} \cos^2 \frac{x}{2} \left(1 + \frac{1}{2} \cdot \frac{\sin^2 \frac{x}{2}}{\cos^2 \frac{x}{2}} \right) } \\ = & \frac{1}{\sqrt{2} \left( 2 \cos^2 \frac{x}{2} + \sin^2 \frac{x}{2} \right) } \\ = & \frac{1}{\sqrt{2} \left(1 + \cos^2 \frac{x}{2} \right)} \ \ \ \left( \because \cos^2 \frac{x}{2} + \sin^2 \frac{x}{2} = 1 \right)
\end{align*}
\]
となる。
解答3
(1) (逆三角関数の積分を利用)\[
\int^\sqrt{3}_1 \frac{1}{\sqrt{4-x^2}} dx =
\int^\sqrt{3}_1 \frac{1}{2 \sqrt{1-\frac{x^2}{4}}} dx =
\frac{1}{2} \int^\sqrt{3}_1 \frac{1}{\sqrt{1-\left( \frac{x}{2} \right)^2}} dx
\]と変形し、\( \frac{x}{2} = t \) とおく。\( \frac{1}{2} dx = dt \) となり、積分範囲は \( \frac{1}{2} \to \frac{\sqrt{3}}{2} \) となる。\[ \begin{align*} &
\frac{1}{2} \int^\frac{\sqrt{3}}{2}_\frac{1}{2} \frac{1}{\sqrt{1-\left( \frac{x}{2} \right)^2}} dx \\ = &
\int^\frac{\sqrt{3}}{2}_\frac{1}{2} \frac{1}{\sqrt{1-t^2}} dt \\ = & \left[ \sin^{-1} t \right]^\frac{\sqrt{3}}{2}_\frac{1}{2} \\ = & \frac{\pi}{3} - \frac{\pi}{6} = \frac{\pi}{6}
\end{align*} \]
[別解 \( x = 2 \sin t \) と置く 数3っぽく]
\( x = 2 \sin t \) とおく。\( dx = 2 \cos t dt \) となり、積分範囲は \( \frac{\pi}{6} \to \frac{\pi}{3} \) となる。
\[ \begin{align*} &
\int^\sqrt{3}_1 \frac{1}{\sqrt{4-x^2}} dx \\ = &
\int^\frac{\pi}{3}_\frac{\pi}{6} \frac{2 \cos t}{\sqrt{4- 4 \sin^2 t}} dt \\ = &
\int^\frac{\pi}{3}_\frac{\pi}{6} \frac{2 \cos t}{2 \sqrt{\cos^2 t}} dt \\ = &
\int^\frac{\pi}{3}_\frac{\pi}{6} 1 dt \\ = &
\left[ t \right]^\frac{\pi}{3}_\frac{\pi}{6} \\ = & \frac{\pi}{3} - \frac{\pi}{6} = \frac{\pi}{6}
\end{align*} \]
(2) \[\int^3_0 \frac{x^2}{x^2+9} dx = \int^3_0 \left( 1 - \frac{9}{x^2+9} \right) dx = \int^3_0 1 dx - \int^3_0 \frac{9}{x^2+9} dx \]と変形できる。
[逆三角関数使って変形]\[\int^3_0 \frac{9}{x^2+9} dx = \int^3_0 \frac{1}{\frac{x^2}{9}+1} dx = \int^3_0 \frac{1}{\left( \frac{x}{3} \right)^2+1} dx\]と変形してから \( \frac{x}{3} = t \) とおく。\( \frac{1}{3} dx = dt \) となり、積分範囲は \( 0 \to 1 \) となる。 \[ \begin{align*} &
\int^3_0 \frac{1}{\left( \frac{x}{3} \right)^2+1} dx \\ = &
3 \int^1_0 \frac{1}{t^2+1} dt \\ = &
3 \int^1_0 \frac{1}{t^2+1} dt \\ = &
3 \left[ \tan^{-1} t \right]^1_0 \\ = &
3 \cdot \frac{\pi}{4} = \frac{3}{4} \pi
\end{align*} \]となる。
\( x = 3 \tan t \) とおく。\( dx = \frac{3}{\cos^2 t} dt \) となり、積分範囲は \( 0 \to \frac{\pi}{4} \) となる。
\[ \begin{align*} &
\int^\frac{\pi}{4}_0 \frac{9}{x^2+9} dx \\ = &
\int^\frac{\pi}{4}_0 \frac{9}{9 \tan^2 t+9} \cdot \frac{3}{\cos^2 t} dt \\ = &
\int^\frac{\pi}{4}_0 \cos^2 t \cdot \frac{3}{\cos^2 t} dt \\ = &
\int^\frac{\pi}{4}_0 3 dt \\ = &
\left[ t \right]^\frac{\pi}{4}_0 = \frac{3}{4} \pi
\end{align*} \]
と求められる。あとは上の式を計算するだけ、\[\int^3_0 1 dx - \int^3_0 \frac{9}{x^2+9} dx = \left[ x \right]^3_0 - \frac{3}{4} \pi = 3 - \frac{3}{4} \pi\]となる。
(3) 部分積分を行う。積分定数を \( C \) として、\[ \begin{align*} &
\int \sin^{-1} x \\ = & x \sin^{-1} x - \int \frac{x}{\sqrt{1-x^2}}
\\ = & x \sin^{-1} x - \left(- \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot \sqrt{1-x^2}\right)
\\ = & x \sin^{-1} x + \sqrt{1-x^2} + C
\end{align*} \]と求められる。
7.さいごに
今回は逆三角関数についてのまとめを行いました。
逆三角関数を用いると、高校までやっていた \( x = \sin t \) とおくような積分が一瞬で解けてしまいましたね。
期末試験や数検1級では、逆三角関数の性質だけでなく、微分や積分が頻出するので、逆三角関数の微分積分にも慣れましょう。
*1:一応念のために確認。\( \cos^2 x \) は \( (\cos x)^2 \) を表しています。なので、\[\begin{align*}
\cos^2 \left( \cos^{-1} x \right) & = \left( \cos \left( \cos^{-1} x \right) \right)^2
\\ & = x^2
\end{align*}\]となります。
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