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こんにちは、ももやまです。
今回は2変数の極限の求め方、および連続性の確認についてまとめたいと思います。
目次
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1.2変数の極限の求め方の3パターン
2変数極限とは、\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2x^2 y}{x^2 + y^2} \]のように一度に2つの変数を同時に極限に近づける操作を行う極限となります。
しかし、2変数を同時に近づける操作をするのは大変です。
なのでなんとかして1変数(今まで解いてきた極限)の極限問題に直してから解いていきます。
では、2変数関数の極限の解法を3パターン紹介したいと思います。
2変数関数の極限の求め方は3つある。
パターン1
分子・分母を因数分解するとうまく消せて極限が求まる。
パターン2(頻繁に使う)
\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) と極座標に変換する。
その際の極限 \( r \) は、\( r \to \sqrt{x^2 + y^2} \) となる。
パターン3
\( y = kx \) とおく(\( (x,y) \to (0,0) \) のみ)。
パターン1 変形したら終わるパターン
これは今までの極限にもありましたね。
まずはこれを試してみましょう。
例題1
\[ \lim_{(x,y) \to (1,1)} \frac{x^2 - 3xy + 2y^2}{x - y} \]を求めなさい。
解説1
分子が因数分解できそうなので因数分解してあげましょう。
そうすると約分できるパターンです。
\[ \begin{align*} &
\lim_{(x,y) \to (1,1)} \frac{x^2 - 3xy + 2y^2}{x - y}
\\ = & \lim_{(x,y) \to (1,1)} \frac{(x-y)(x-2y)}{x - y}
\\ = & \lim_{(x,y) \to (1,1)} x - 2y
\\ = & \ -1
\end{align*} \]となり、-1に収束することがわかりますね。
パターン2 極座標にして1変数の極限にする
例題2
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2x^2 y}{x^2 + y^2} \]の極限を求めなさい。
解説2
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2x^2 y}{x^2 + y^2} \]は頑張っても変形できそうにありませんね。
このような問題に対しては、\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) とおいて極座標にしてあげます。
すると、極限は \( (x,y) \to 0 \) から、\[r = \sqrt{x^2 + y^2} \to 0 \]とすることができますね。つまり、\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2x^2 y}{x^2 + y^2} & = \lim_{r \to 0} \frac{2r^3 \cos^2 \theta \sin \theta}{r^2 \left( \cos^2 \theta + \sin^2 \theta \right)}
\\ & = \lim_{r \to 0} \frac{2r^3 \cos^2 \theta \sin \theta}{r^2}
\\ & = \lim_{r \to 0} 2r \cos^2 \theta \sin \theta
\end{align*} \]となります。
ここで、\( | \sin \theta | \leqq 1 \), \( | \cos \theta | \leqq 1 \) なので、\[ |2r \cos^2 \theta \sin \theta| \leqq 2r \] ですね。\[ \lim_{r \to 0} 2r = 0\]より、はさみうちの定理より、\[\lim_{r \to 0} 2r \cos^2 \theta \sin \theta = 0 \]となります。
パターン3 y = kx とおく
\( y = kx \) とおくことでも極限を解くことができます。
ただし、\( (x,y) \to (0,0) \) の極限にしか適用できないので注意してください。
このように置くことで1変数の極限として問題を解くことができます。\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2x^2 y}{x^2 + y^2} & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2x^2 \cdot kx}{x^2 + (kx)^2}
\\ & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2k x^3}{(1 + k^2) x^2}
\\ & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2k}{1 + k^2} x
\end{align*} \]となるので極限は0に収束する。
注意 極限が収束しないパターン
ただし、極限が収束しないパターンもあるため、注意してください。
例題3
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x^2 - y^2}{x^2 + y^2} \]の極限を求めなさい。
(1) 極座標と置く
\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) とおく。
極限は \( (x,y) \to 0 \) から、\[r = \sqrt{x^2 + y^2} \to 0 \] となる。\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x^2 - y^2}{x^2 + y^2} & = \lim_{r \to 0} \frac{r^2 \left( \cos^2 \theta - \sin^2 \theta \right) }{r^2 \left( \cos^2 \theta + \sin^2 \theta \right)}
\\ & = \lim_{r \to 0} \frac{r^2 \left( \cos^2 \theta - \sin^2 \theta \right)}{r^2}
\\ & = \lim_{r \to 0} \cos^2 \theta - \sin^2 \theta
\\ & = \lim_{r \to 0} \cos 2 \theta
\end{align*} \]となります。
ここで、この極限は \( \theta = 0 \) のとき 1、\( \theta \pi / 2 \) のとき 0 となり、\( \theta \) の値によって極限が変わる。よってこの極限は存在しない。
(2) y = kx とおく
\( y = kx \) とする。
\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x^2 - y^2}{x^2 + y^2} & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x^2 - (kx)^2}{x^2 + (kx)^2}
\\ & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{(1 - k^2) x^2}{(1 + k^2) x^2}
\\ & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{1 - k^2}{1 + k^2}
\end{align*} \]となる。
このとき、\( k = 0 \) のとき極限は1、\( k = 1 \) のとき極限は0となり、\( k \) の値によって極限が変わる。よって極限は存在しない。
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2.2変数の極限の連続性
さきほどの2変数関数の極限を用いることで、連続性の確認をすることができます。
関数 \( z = f(x,y) \) の定義域に含まれる点 \( (a,b) \) において、
(1) \[ \lim_{(x,y) \to (a,b)} f(x,y) \]が存在する。
(2) \[ \lim_{(x,y) \to (a,b)} f(x,y) = f(a.b) \]
の2つを満たすとき、関数 \( f(x,y) \) は点 \( (a,b) \) で連続といえる。
例題4
つぎの関数 \( f(x,y) \) の原点 \( (0,0) \) における連続性を調べなさい。
\[ f(x,y) = \left\{ \begin{array}{l} \ \ \frac{2 x^2 y}{x^2 + y^2} \ \ & (x,y) \not = (0,0) \\ \ \ \ \ \ \ 0 & (x,y) = (0,0) \end{array}\right.\]
解説4
例題2より、\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{2x^2 y}{x^2 + y^2} = 0 = f(0,0)\]となるので原点において連続である。
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3.練習問題
では、実際に練習をしましょう。
練習1
つぎの(1)~(4)の極限を求めなさい。ただし、極限が存在しない場合は「存在しない」と答えること。
(1)
\[ \lim_{(x,y) \to (2,2)} \frac{x^2 +2xy - 3y^2}{x^2 - y^2}\]
(2)
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x^3 - y^3}{\sqrt{x^2 + y^2}}\]
(3)
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{xy}{x^2 + y^2}\]
(4)
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{1 - \cos \sqrt{x^2 + y^2}}{x^2 + y^2}\]
練習2
つぎの(1), (2), (3)の関数 \( f(x,y) \) は原点において連続であるかどうか答えなさい。
理由も書くこと。
(1) \[ f(x,y) = \left\{ \begin{array}{l} \ \ \frac{x+y}{\sqrt{x^2+y^2} } \ \ & (x,y) \not = (0,0) \\ \ \ \ \ \ \ 0 & (x,y) = (0,0) \end{array}\right.\]
(2) \[ f(x,y) = \left\{ \begin{array}{l} \ \ \left( x^2 + y^2 \right) \log \left( x^2 + y^2 \right) \ \ & (x,y) \not = (0,0) \\ \ \ \ \ \ \ 1 & (x,y) = (0,0) \end{array}\right.\]
(3) \[ f(x,y) = \left\{ \begin{array}{l} \ \ xy \sin \frac{1}{\sqrt{x^2 + y^2}} \ \ & (x,y) \not = (0,0) \\ \ \ \ \ \ \ 0 & (x,y) = (0,0) \end{array}\right.\]
4.練習問題の解答
練習1
(1)
分子分母をともに因数分解するパターン。
\[ \begin{align*} &
\lim_{(x,y) \to (1,1)} \frac{x^2 +2xy - 3y^2}{x^2 - y^2}
\\ = & \lim_{(x,y) \to (1,1)} \frac{(x+3y)(x-y)}{(x+y)(x-y)}
\\ = & \lim_{(x,y) \to (1,1)} \frac{x+3y}{x+y}
\\ = & 2
\end{align*} \]となり、2に収束する。
(2)
極座標でやった場合
\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) とおく。
極限は \( (x,y) \to 0 \) から、\[r = \sqrt{x^2 + y^2} \to 0 \] となる。\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x^3 - y^3}{\sqrt{x^2 + y^2}}
& = \lim_{r \to 0} \frac{r^3 \left( \cos^3 \theta - \sin^3 \theta \right) }{\sqrt{r^2 \left( \cos^2 \theta + \sin^2 \theta \right)}}
\\ & = \lim_{r \to 0} \frac{ r^3 \left( \cos^3 \theta - \sin^3 \theta \right) }{r}
\\ & = \lim_{r \to 0} r^2 \left( \cos^3 \theta - \sin^3 \theta \right)
\end{align*} \]となります。
さらに \( | \cos^3 \theta | \leqq 1 \) かつ \( | \sin^3 \theta | \leqq 1 \) である。
また、\[ \lim_{r \to 0} 2r^2 = 0 \]なのではさみうちの定理より0に収束する。
y = kx とおいた場合
\( y = kx \) とする。
\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x^3 - y^3}{\sqrt{x^2 + y^2}}
& = \lim_{(x,y) \to (0,0)}\frac{x^3 - (kx)^3}{\sqrt{x^2 + (kx)^2}}
\\ & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{(1 - k^3) x^3}{\sqrt{(1 + k^2) x^2}}
\\ & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{1 - k^3}{\sqrt{1 + k^2}} x^2
= 0
\end{align*} \]となる。
(3)
極座標でやった場合
\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) とおく。
極限は \( (x,y) \to 0 \) から、\[r = \sqrt{x^2 + y^2} \to 0 \] となる。\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{xy}{x^2 + y^2}
& = \lim_{r \to 0} \frac{r^2 \sin \theta \cos \theta}{r^2 \left( \cos^2 \theta + \sin^2 \theta \right)}
\\ & = \lim_{r \to 0} \frac{ \frac{1}{2} r^2 \sin 2 \theta }{r^2}
\\ & = \lim_{r \to 0} \frac{1}{2} \sin 2 \theta
\end{align*} \]となります。
ここで、この極限は \( \theta = 0 \) のとき 0、\( \theta = \pi / 4 \) のとき \( 1/2 \) となり、\( \theta \) の値によって極限が変わる。よってこの極限は存在しない。
y = kx とおいた場合
\( y = kx \) とする。
\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{xy}{x^2 + y^2}
& = \lim_{(x,y) \to (0,0)}\frac{x(kx)}{x^2 + (kx)^2}
\\ & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{(k x^2}{(1 + k^2) x^2}
\\ & = \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{k}{1 + k^2}
\end{align*} \]となる。
このとき、\( k = 0 \) のとき極限は0、\( k = 1 \) のとき極限は 1/2 となり、\( k \) の値によって極限が変わる。よって極限は存在しない。
(4)
極座標でやることをつよくおすすめします。
\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) とおく。
極限は \( (x,y) \to 0 \) から、\[r = \sqrt{x^2 + y^2} \to 0 \] となる。\[\begin{align*} \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{1 - \cos \sqrt{x^2 + y^2}}{x^2 + y^2}
& = \lim_{r \to 0} \frac{1 - \cos r}{r^2}
\\ & = \lim_{r \to 0} \frac{\sin r}{2r}
\\ & =\lim_{r \to 0} \frac{\cos r}{2}
\end{align*} \]となり、極限は1/2となる。
(下2行の変形はロピタルの定理を使用しています。)
練習2
(1)
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x+y}{\sqrt{x^2+y^2}} \]の極限を求める。
\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) とおく。
極限は \( (x,y) \to 0 \) から、\[r = \sqrt{x^2 + y^2} \to 0 \] となる。\[ \begin{align*}
& \lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{x+y}{\sqrt{x^2+y^2}}
\\ = & \lim_{r \to 0} \frac{r \left( \cos \theta + \sin \theta \right) }{r}
\\ = & \lim_{r \to 0} \cos \theta + \sin \theta
\\ = & \lim_{r \to 0} \sqrt{2} \sin \left( \theta + \frac{\pi}{4} \right)
\end{align*} \]と変形できる。
ここで、\( \theta = 0 \) のとき、1、\( \theta = \pi/4 \) のとき \( \sqrt{2} \) と、\( \theta \) の値によって変わってしまうので極値は存在しない。
よって、原点においても連続ではない。
(2)
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \left( x^2 + y^2 \right) \log \left( x^2 + y^2 \right) \]の極限を求める。
\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) とおく。
極限は \( (x,y) \to 0 \) から、\[r = \sqrt{x^2 + y^2} \to 0 \] となる。\[ \begin{align*}
& \lim_{(x,y) \to (0,0)}\left( x^2 + y^2 \right) \log \left( x^2 + y^2 \right)
\\ = & \lim_{r \to 0} r^2 \log r^2
\\ = & \lim_{r \to 0} \frac{\log r^2}{r^{-2}}
\\ = & \lim_{r \to 0} \frac{\frac{2r}{r^2}}{-2r^{-3}}
\\ = & \lim_{r \to 0} -r^2 = 0
\end{align*} \]と変形できる。
極限は存在するが、\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} \left( x^2 + y^2 \right) \log \left( x^2 + y^2 \right) = 0 \not = 1 = f(0,0)\]となるので連続ではない。
(3)
\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} xy \sin \frac{1}{\sqrt{x^2 + y^2}} \]の極限を求める。
\( x = r \cos \theta \), \( y = r \sin \theta \) とおく。
極限は \( (x,y) \to 0 \) から、\[r = \sqrt{x^2 + y^2} \to 0 \] となる。\[ \begin{align*}
& \lim_{(x,y) \to (0,0)} xy \sin \frac{1}{\sqrt{x^2 + y^2}}
\\ = & \lim_{r \to 0} r \cos \theta \sin \theta \sin \frac{1}{r}
\\ = & \lim_{r \to 0} \frac{1}{2} r \sin 2 \theta \sin \frac{1}{r}
\end{align*} \]と変形できる。
ここで、\[ 0 \leqq \left| \sin \frac{1}{r} \right| \leqq 1 \]なので、\[
0 \leqq \left| \frac{1}{2} r \sin 2 \theta \sin \frac{1}{r} \right| \leqq \frac{1}{2} r \sin 2 \theta
\]となる。よって、\[
\lim_{r \to 0} \frac{1}{2} r \sin 2 \theta
\]の極限を求めればよい。\( \left| \sin 2 \theta \right| \leqq 1 \) より、\[
\lim_{r \to 0} \frac{1}{2} r \sin 2 \theta = 0
\]となる。よってはさみうちの定理より、\[
\lim_{r \to 0} \frac{1}{2} r \sin 2 \theta \sin \frac{1}{r} = 0
\]も成立する。 よって、\[ \lim_{(x,y) \to (0,0)} xy \sin \frac{1}{\sqrt{x^2 + y^2}} = 0 = f(0,0)\]となるので原点において連続である。
5.さいごに
今回は2変数関数の極値の求め方およびある点における連続性の判定方法についてのまとめでした。
2変数関数の極値をそのまま求めようとすると大変なので、極座標とおいたり、\( y = x \) とすることで1変数にさせ、1変数の状態で解くようにすることを覚えておきましょう。
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