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こんにちは、ももやまです。
今回は接平面についてまとめたいと思います。

 

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1.接平面とは

皆さんは数2(数3)で1変数関数の接線の方程式*1の公式を学びましたね。

 

この1変数関数の接線の方程式を2変数関数の平面上に拡張したバージョンが接平面の方程式となります。

早速式を見てみましょう。

 

接平面の方程式の公式

2変数関数 \( z = f(x,y) \) の点 \( (a,b) \) における接平面の方程式は、\[
z = f_x (a,b) (x-a) + f_y (a,b) (y-b) + f(a,b)
\]である。

この式は、全微分の公式 \[ dz = f_x \ dx + f_y \ dy \]にちょっとだけ似ていますね。

それもそのはず、接平面の公式を少し変形した、\[
z - f(a,b) = f_x (a,b) (x-a) + f_y (a,b) (y-b) 
\]の \( dx \) が \( x - a \) 、\( dy \) が \( y - b \) 、\( dz \) が \( z - f(a,b) \) に対応しているのです。

つまり、接平面の式は「点 \( (a,b) \) における \( x \) が \( x- a \) 変化し、\( y \) が \( y- b \) 変化したとき、 \( z \) の変化量が \( z - f(a,b) \) である」という意味といえます。

なので、全微分と接平面は互いに関係のあるといえます。

 

 

実際に例題で1問接平面を求めてみましょう。

例題1

曲面 \( z = x^2 + y^2 \) 上の点 (2,1,5) における接平面の方程式を求めなさい。

解説1

\( z = f(x,y) \) とする。

\( f_x = 2x \), \( f_y = 2y \) となる。よって、\[ f_x (2,1) = 4, \ \  f_y (2,1) = 2\]より接平面の方程式は、\[\begin{align*}
z & = 4 (x-2) + 2 (y-1) + 5 \\ & = 4x + 2y - 5
\end{align*} \]と求めることができます。

 

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2.法線の方程式

次に接平面に垂直な法線の方程式の求め方を説明していきましょう。

点A \( (a,b,f(a,b) ) \) とは異なる点B \( (x,y,z) \) を取ります。すると、ベクトル \( \overrightarrow{AB} \) は、\[ \overrightarrow{AB} = \left( \begin{array}{ccc} x-a \\ y-b \\ z - f(a,b) \end{array} \right) \]となりますね。

 

ここで、ベクトル \( \vec{n} \) を、\[ \vec{n} = \left( \begin{array}{ccc} f_x (a,b) \\ f_y (a,b) \\ -1 \end{array} \right) \]とおきましょう。

先程の接平面の公式を変形すると、\[
f_x (a,b) (x-a) + f_y (a,b) (y-b) - \left( z-f(a,b) \right) = 0
\]という式が得られますね。

また、 \(  \overrightarrow{AB} \cdot \vec{n} \) の内積の式は、\[\begin{align*} \overrightarrow{AB} \cdot \vec{n} & = \left( \begin{array}{ccc} x-a \\ y-b \\ z - f(a,b) \end{array} \right) \cdot \left( \begin{array}{ccc} f_x (a,b) \\ f_y (a,b) \\ -1 \end{array} \right)
\\ & = f_x (a,b) (x-a) + f_y (a,b) (y-b) - \left( z-f(a,b) \right) \\ & = 0
\end{align*} \]となります。内積が0ということは、2つのベクトルは直交だということがわかりますね。

なので、\( \vec{n} \) は接平面の法線ベクトルだということもわかります。

 

法線ベクトルがわかれば、法線がどの方向を向いているかわかりますね。 

つまり、法線の方程式は、「ある点A \( (a,b,f(a,b) ) \) を通り、法線ベクトル \( \vec{n} \) に平行な直線 \( l \)」を求めればOKですね。

 

ここで、点Pをある直線 \( l \) 上におきます。

すると、\(  \overrightarrow{OP} \) は、媒介変数 \( t \) を用いて\[\begin{align*}
\overrightarrow{OP} & = \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{AP}
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} a \\ b \\ f(a,b) \end{array} \right) + t \vec{u}
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} a \\ b \\ f(a,b) \end{array} \right) + t \left( \begin{array}{ccc} f_x (a,b) \\ f_y (a,b) \\ -1 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} f_x (a,b) \ t + a \\f_y (a,b) \ t + b \\ - t + f(a,b) \end{array} \right)
\end{align*}\]と求められます。

 

ここで、点Pの座標を \( (x,y,z) \) とすると、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} f_x (a,b) \ t + a \\ f_y \ (a,b) t + b \\ - t + f(a,b) \end{array} \right)
\]となるので、直線 \( l \) の方程式は媒介変数 \( t \) を用いて\[
\left\{ \begin{array}{l} x = f_x (a,b) \ t + a \\ y = f_y (a,b) \ t + b \\ z =- t + f(a,b) \end{array}\right.
\]と表せます。

 

あとは、\[\begin{align*}
t = \frac{x-a}{f_x (a,b)} \\ 
t =\frac{y-b}{f_y (a,b)} \\
t = \frac{z-f(a,b)}{-1} 
\end{align*}\]と変形してから、\( t \) を消去することで\[
 \frac{x-a}{f_x (a,b)} = \frac{y-b}{f_y (a,b)} = \frac{z- f(a,b)}{-1}
\]の式を得ることができます。

 

なお、空間上における直線の方程式の求め方については下のサイトに詳しく書いているので、もしよければご覧ください。

www.momoyama-usagi.com

 

 

曲面の法線の方程式

2変数関数 \( z = f(x,y) \) と \( (a,b) \) における法線の方程式は、\[
 \frac{x-a}{f_x (a,b)} = \frac{y-b}{f_y (a,b)} = \frac{z- f(a,b)}{-1}
\]である。

 

例題2

曲面 \( z = x^2 + y^2 \) 上の点 (2,1,5) における法線の方程式を求めなさい。

解説2

公式に代入するだけ。\[ f_x (2,1) = 4, \ \  f_y (2,1) = 2\]より、\[  \frac{x-2}{4} = \frac{y-1}{2} = \frac{z-5}{-1} \]となり、変形(互いに4倍)すると\[
x - 2 = 2(y-1) = -4(z-5)
\]となります。

 

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3.練習問題

では、少しだけですが練習しましょう!

練習1

つぎの(1)~(3)のそれぞれの点における接平面と法線の方程式を求めなさい。

(1) \[ z = x^3 + y^2 , \ \ \ (1,2,5) \]

(2) \[ z = \log (x^2 + y^2) \ \ \ (1,1, \log 2) \]

(3) \[ z = \sqrt{14 - x^2 - y^2} \ \ \ (3,-2,1) \]

練習2

曲面 \[ z = \frac{1}{xy} \] の点 \( (a,b,c) \) における接平面が\[\frac{x}{a} + \frac{y}{b} + \frac{z}{c} = 3\]になることを確認しなさい。

 

4.練習問題の解答

\( z = f(x,y) \) としています。

練習1

(1) \[ f_x = 3x^2 , \ \ \ f_y = 2y \] より、\[ f_x(1,2) = 3 , \ \ \ f_y(1,2) = 4 \]である。

よって接平面の方程式は、\[\begin{align*} z & = 3 (x-1) + 4(y-2) + 5 
\\ & = 3x + 4y -6
\end{align*} \]となる。また、法線の方程式は、\[ 
 \frac{x-1}{3} = \frac{y-2}{4} = \frac{z-5}{-1}
\]となるので変形(すべて12倍)して、\[
4(x-1) = 3(y-2) = -12 (z-5) 
\]となる。

(2) \[ f_x = \frac{2x}{x^2+y^2} , \ \ \ f_y = \frac{2y}{x^2+y^2} \] より、\[ f_x(1,1) = 1 , \ \ \ f_y(1,1) = 1 \]である。

よって接平面の方程式は、\[\begin{align*} z & = x-1 + y - 1 + \log 2
\\ & = x + y + \log 2 - 2
\end{align*} \]となる。また、法線の方程式は、\[ 
 \frac{x-1}{1} = \frac{y-1}{1} = \frac{z- \log 2}{-1}
\]となるので変形して、\[
x - 1 = y - 1 = \log 2 - z 
\]となる。

(2) \[ f_x = - \frac{x}{14 - x^2 - y^2}, \ \ \ f_y = - \frac{y}{14 - x^2 - y^2} \]より、\[ f_x(3,-2) = -3 , \ \ \ f_y(3,-2) = 2 \]である。

よって接平面の方程式は、\[\begin{align*} z & = -3(x-3) + 2(y+2) + 1
\\ & = -3x + 2y + 14
\end{align*} \]となる。また、法線の方程式は、\[ 
 \frac{x-3}{-3} = \frac{y+2}{2} = \frac{z - 1}{-1}
\]となるので変形して、\[
2 (x-3) = -3 (y+2) = 6(z-1) \\ 2x = -3y = 6z
\]となる。

 

練習2

 とする。\[ f_x = - \frac{1}{x^2 y}, \ \ \ f_y = - \frac{1}{x y^2} \]となるので、\[ f_x (a,b) = - \frac{1}{a^2 b}, \ \ \ f_y (a,b) = - \frac{1}{a b^2} \]となる。

よって、接平面の方程式は、\[ z = - \frac{1}{a^2 b} (x-a) - \frac{1}{a b^2} + c\] となります。ここで、\[ c = \frac{1}{ab} \] が成り立つので、\[ z = - \frac{c}{a} (x-a) - \frac{c}{b} (y-b) + c \]が成立する。両辺を \( c \) で割ると\[ \frac{z}{c} = - \frac{1}{a} (x-a) - \frac{1}{b} (y-b) + 1\] となります。あとは整理をすると、\[\frac{x}{a} + \frac{y}{b} + \frac{z}{c} = 3\]が成立します。

 

5.さいごに

今回は曲面における接平面と法線の方程式についてのまとめを行いました。

徐々に偏微分にも慣れてきたころだと思います。

接平面は1変数関数の接線が面になったバージョンだと思っていただければOKです。

 

*1:\( y =  f(x) \) の点 \( (a,f(a,b) ) \) における接線の方程式は\[y = f'(a) (x-a) + f(a)\]となる。

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