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こんにちは、ももやまです。

今回は2変数におけるマクローリン展開、テイラー展開についてまとめていきたいとおもいます。

前回の記事(Part18)はこちら!
陰関数微分や陰関数定理についてです。

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1.2変数マクローリン展開

皆さんは1変数のマクローリン展開\[
f(x) = f(0) + \frac{f'(0)}{1!} x + \frac{f''(0)}{2!} x^2 + \frac{f'''(0)}{3!} x^3 + \cdots
\]はすでに習いましたね。

今回は1変数マクローリン展開の知識を使うのでまだマクローリン展開が怪しい人は1変数のマクローリン展開を復習しておきましょう。

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この1変数マクローリン展開を拡張し、\( f(x,y) \) のような2変数関数でも適用できるようにしたのが2変数マクローリン展開です。

2変数マクローリン展開を用いることで、様々な2変数関数 \( f(x,y) \) を \( x,y \) の多項式で表すことができます。

まずは、3次の項までの2変数マクローリン展開の公式を下に書いて行こうと思います。

2変数マクローリン展開(3次の項まで)

2変数関数 \( f(x,y) \) が原点 \( (0,0) \) において \( n \) 回偏微分可能で連続*1とする。このとき、

\( n = 1 \) のとき(1次の項までのテイラー展開)\[\begin{align*}
f(x,y) =  f(0,0) + \frac{1}{1!} \left( f_x(0,0) x + f_y(0,0) y \right) + \cdots
\end{align*} \]

\( n = 2 \) のとき(2次の項までのテイラー展開)\[\begin{align*}
f(x,y) & = f(0,0) + \frac{1}{1!} \left( f_x(0,0) x + f_y(0,0) y \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( f_{xx}(0,0) x^2 + \textcolor{red}{2} f_{xy} (0,0) xy + f_{yy}(0,0) y^2 \right) + \cdots
\end{align*} \]

\( n = 3 \) のとき(3次の項までのテイラー展開)\[\begin{align*}
f(x,y) & = f(0,0) + \frac{1}{1!} \left( f_x(0,0) x + f_y(0,0) y \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( f_{xx}(0,0) x^2 + \textcolor{red}{2} f_{xy} (0,0) xy + f_{yy}(0,0) y^2 \right) \\ & +  \frac{1}{3!} \left( f_{xxx}(0,0) x^3 + \textcolor{red}{3} f_{xxy} (0,0)  x^2 y+ \textcolor{red}{3} f_{xyy} (0,0)  x y^2 f_{yyy}(0,0) y^3 \right) \\ & + \cdots
\end{align*} \]

となる。

2次までの項のときの \( f_{xy} \) にかかる係数が2になっていますね。

これは、\( f_{xy} \) の場合と \( f_{yx} \) の場合の2つを表しています。しかし、2変数のマクローリン展開ができる場合、必ず \( f_{xy} \), \( f_{yx} \) の値は同じです*2。なので、\( f_{xy} \), \( f_{yx} \) をあわせて \( 2 \ f_{xy} \) となっているのです。

同様に3次の項のときの \( f_{xxy} \), \( f_{xyy} \) にかかる係数が3になっているのも、\( f_{xxy} \) の場合は \( f_{xxy} \), \( f_{xyx} \), \( f_{yxx} \) の3つ、\( f_{xyy} \) の場合は \( f_{xyy} \), \( f_{yxy} \), \( f_{yyx} \) の3つを考えているからなのです。

\( n \) 次の項までの2変数マクローリン展開の式も下に書いておきましょう。

2変数マクローリン展開(n次の項まで)

2変数関数 \( f(x,y) \) が原点 \( (0,0) \) において \( n \) 回偏微分可能で連続(つまり \( C_n \) 級)とする。このとき、\[ \begin{align*}
f(x,y) & = f(0,0) + \frac{1}{1!} \left( x \frac{\partial }{\partial x}  + y \frac{\partial }{\partial y} \right) f(0,0) \\ & + \frac{1}{2!} \left( x \frac{\partial }{\partial x} + y \frac{\partial }{\partial y} \right)^2 f(0,0)^2 \\ & + \frac{1}{3!} \left( x \frac{\partial }{\partial x} + y \frac{\partial }{\partial y} \right)^3 f(0,0)^3 \\ & + \frac{1}{n!} \left(x  \frac{\partial }{\partial x} +y \frac{\partial }{\partial y} \right)^n f(0,0)^n \\ & + \cdots
\end{align*} \]となる。展開すると、\[ \begin{align*}
f(x,y) & = f(0,0) + \frac{1}{1!} \left( x \frac{\partial f}{\partial x} (0,0)  + y \frac{\partial f}{\partial y} (0,0) \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( x^2 \frac{\partial^2 f}{\partial x^2} (0,0) + 2xy \frac{\partial^2 f}{\partial y\partial x} (0,0) + y^2 \frac{\partial^2 f}{\partial y^2} (0,0) \right)
\\ & + \frac{1}{3!} \left( x^3 \frac{\partial^2 f}{\partial x^3} (0,0) + 3x^2 y \frac{\partial^3 f}{\partial y \partial x^2} (0,0) + 3x y^2 \frac{\partial^3 f}{\partial y^2 \partial x} (0,0) + y^3 \frac{\partial^3 f}{\partial y^3} (0,0) \right)
\\ & + \frac{1}{n!} \left( {}_n \mathrm{C} _0 \ x^n \frac{\partial^n f}{\partial x^n} (0,0) +{}_n \mathrm{C} _1 \ x^{n-1} y \frac{\partial^n f}{\partial y \partial x^{n-1}} (0,0) + \cdots +  {}_n \mathrm{C} _n \ y^n \frac{\partial^n f}{\partial y^n} (0,0) \right)
\end{align*} \]

では、ここで1問実際にマクローリン展開をしてみましょう。

例題1

次の2変数関数\[
f(x,y) = e^x \log (1+y)
\]のマクローリン展開を2次の項まで求めなさい。

解答1

2次の項まで求めるために \( f(x,y) \) の2次偏導関数と \( (0,0) \) における偏微分係数を求める。\[\displaylines{
f(0,0) = 0 \\
f_x = e^x \log (1+y), \ \ \ \ \ f_x (0,0) = 0 \\
f_y = \frac{e^x}{1+y}, \ \ \ \ \ f_y (0,0) = 1 \\
f_{xx} = e^x \log (1+y), \ \ \ \ \ f_{xx} (0,0) = 0 \\
f_{xy} = \frac{e^x}{1+y}, \ \  \ \ \ f_{xy} (0,0) = 1 \\
f_{yy} = - \frac{e^x}{(1+y)^2} , \ \  \ \ \ f_{yy} (0,0) = -1
}\]となるのであとは公式に代入するだけ。\[\begin{align*}
f(x,y) & = f(0,0) + \frac{1}{1!} \left( f_x(0,0) x + f_y(0,0) y \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( f_{xx}(0,0) x^2 + \textcolor{red}{2} f_{xy} (0,0) xy + f_{yy}(0,0) y^2 \right)
\\ & = y + \frac{1}{2} (2xy - y^2) \\ & = y + xy - \frac{1}{2} y^2
\end{align*} \]となる。

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2.2変数テイラー展開

2変数のマクローリン展開を原点以外のときでも成り立つようにしたのが2変数テイラー展開です。テイラー展開を考えることにより、原点 (0,0) 以外での様々な \( x,y \) の多項式による近似を考えることができるようになります。

まずは、3次の項までのテイラー展開の式をみてみましょう。

2変数テイラー展開(3次の項まで)

2変数関数 \( f(x,y) \) が点 \( (a,b) \) において \( n \) 回偏微分可能で連続とする。このとき、

\( n = 1 \) のとき(1次の項までのテイラー展開)\[\begin{align*}
f(x,y) =  f(a,b) + \frac{1}{1!} \left( f_x(a,b) (x-a)  + f_y(a,b) (y-b) \right) + \cdots
\end{align*} \]

\( n = 2 \) のとき(2次の項までのテイラー展開)\[\begin{align*}
f(x,y) & = f(a,b) + \frac{1}{1!} \left( f_x(a,b) (x-a) + f_y(a,b) (y-b) \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( f_{xx}(a,b) (x-a)^2 + \textcolor{red}{2} f_{xy} (a,b) (x-a)(y-b) + f_{yy}(a,b) (y-b)^2 \right) + \cdots
\end{align*} \]

\( n = 3 \) のとき(3次の項までのテイラー展開)\[\begin{align*}
f(x,y) & = f(a,b) + \frac{1}{1!} \left( f_x(a,b) (x-a) + f_y(a,b) (y-b) \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( f_{xx}(a,b) (x-a)^2 + \textcolor{red}{2} f_{xy} (a,b) (x-a)(y-b) + f_{yy}(a,b) (y-b)^2 \right) \\ & +  \frac{1}{3!} \left( f_{xxx}(a,b) (x-a)^3 + \textcolor{red}{3} f_{xxy} (a,b)  (x-a)^2 (y-b)+ \textcolor{red}{3} f_{xyy} (a,b)  (x-a) (y-b)^2 f_{yyy}(a,b) (y-b)^3 \right) \\ & + \cdots
\end{align*} \]

となる。

(マクローリン展開は原点 \( (a,b) = (0,0) \) におけるテイラー展開である。)

マクローリン展開の \( f(0,0) \), \( x,y \) がそれぞれ \( f(a,b) \), \( (x-a) \), \( (y-b) \) に変わっただけですね。

係数部分(赤数字)はマクローリン展開と同じです。

また、1次の項までの展開\[
f(x,y) =  f(a,b) + \frac{1}{1!} \left( f_x(a,b) (x-a)  + f_y(a,b) (y-b) \right)
\]は、曲面 \( z = f(x,y) \) の点 \( (a,b, f(a,b) ) \) における接平面を表しています。

\( n \) 次までの場合もみてみましょう。

2変数マクローリン展開(n次の項まで)

2変数関数 \( f(x,y) \) が原点 \( (a,b) \) において \( n \) 回偏微分可能で連続(つまり \( C_n \) 級)とする。このとき、\[ \begin{align*}
f(x,y) & = f(a,b) + \frac{1}{1!} \left( (x-a) \frac{\partial }{\partial x}  + (y-b) \frac{\partial }{\partial y} \right) f(a,b) \\ & + \frac{1}{2!} \left( (x-a) \frac{\partial }{\partial x} + (y-b) \frac{\partial }{\partial y} \right)^2 f(a,b)^2 \\ & + \frac{1}{n!} \left( (x-a)  \frac{\partial }{\partial x} + (y-b) \frac{\partial }{\partial y} \right)^n f(a,b)^n \\ & + \cdots
\end{align*} \]となる。展開すると、\[ \begin{align*}
f(x,y) & = f(a,b) + \frac{1}{1!} \left( (x-a) \frac{\partial f}{\partial x} (a,b)  + (y-b) \frac{\partial f}{\partial y} (a,b) \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( (x-a)^2 \frac{\partial^2 f}{\partial x^2} (a,b) + 2(x-a)(y-b) \frac{\partial^2 f}{\partial y \partial x} (a,b) + (y-b)^2 \frac{\partial^2 f}{\partial y^2} (a,b) \right)
\\ & + \frac{1}{n!} \left( {}_n \mathrm{C} _0 \ (x-a)^n \frac{\partial^n f}{\partial x^n} (a,b) +{}_n \mathrm{C} _1 \ (x-a)^{n-1} (y-b) \frac{\partial^n f}{\partial y \partial x^{n-1}} (a,b) + \cdots +  {}_n \mathrm{C} _n \ (y-b)^n \frac{\partial^n f}{\partial y^n} (a,b) \right)
\end{align*} \]

こちらも1問練習してみましょう。

例題2

次の2変数関数\[
f(x,y) = x^2 - 2xy + y^2
\]の (1,1) におけるテイラー展開を2次の項まで求めることにより、\( (x-1) \), \( (y-1) \) の多項式で表しなさい。

解答2

2次の項まで求めるために \( f(x,y) \) の2次偏導関数と \( (1,1) \) における偏微分係数を求める。\[\displaylines{
f(1,1) = 0 \\
f_x = 2x - 2y , \ \ \ \ \ f_x (1,1) = 0 \\
f_y = -2x + 2y , \ \ \ \ \ f_y (1,1) = 0 \\
f_{xx} = 2 , \ \ \ \ \ f_{xx} (1,1) = 2 \\
f_{xy} = -2 , \ \  \ \ \ f_{xy} (1,1) = -2 \\
f_{yy} = 2 , \ \ \ \ \ f_{yy} (1,1) = 2
}\]となるのであとは公式に代入するだけ。\[\begin{align*}
f(x,y) & = f(1,1) + \frac{1}{1!} \left( f_x(1,1) (x-1) + f_y(1,1) (y-1) \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( f_{xx}(1,1) (x-1)^2 + \textcolor{red}{2} f_{xy} (1,1) (x-1)(y-1) + f_{yy}(1,1) (y-1)^2 \right)
\\ & = (x-1)^2 - 2(x-1)(y-1) + (y-1)^2
\end{align*} \]となる。

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3.2変数マクローリン展開の計算の工夫

2変数マクローリン展開は工夫して計算すると素早く計算ができることがあります。

工夫1 xの関数, yの関数に分解してそれぞれマクローリン展開

まずは、\( x \) の関数 \( f(x) \) と \( y \) の関数 \( g(y) \) に分解し、最後に2つを掛けることで求める方法を例題を踏まえながら説明したいと思います。

例題3

例題1と同じ次の2変数関数\[
f(x,y) = e^x \log (1+y)
\]のマクローリン展開を求めたい。

(1) \( e^x \), \( \log(1+y) \) の2次までのマクローリン展開を求めなさい
(2) (1) を用いて \( f(x,y) \) のマクローリン展開を求めなさい

解答3

(1)

1変数のマクローリン展開計算をするだけ。\[
e^x = 1 + x + \frac{1}{2} x^2 \]\[
\log (1+y) = y - \frac{1}{2} y^2
\]

(2) \[\begin{align*}
f(x,y) & = e^x \log (1+y)
\\ & = \left( 1 + x + \frac{1}{2} x^2 \right) \left( y - \frac{1}{2} y^2 \right)
\\ & = y + xy - \frac{1}{2} y^2
\end{align*} \]と求められる。

工夫2 xとyの関数を1文字に置き換える

つぎに、2変数関数の変数 \( x,y \) を1つ文字に置き換える方法を説明します。
この技は場合によってはかなり計算量が少なくなるので使えるなら積極的に使っていただければなと思います。

例題4

次の2変数関数\[
f(x,y) = \sin (x+y)
\]のマクローリン展開を求めたい。

(1) \( g(t) = \sin t \) の3次までのマクローリン展開を求めなさい
(2) (1) を用いて \( f(x,y) \) の3次までのマクローリン展開を求めなさい

解説4

(1) \[
\sin t = t - \frac{1}{6} t^3 + \cdots
\]となる。

(2) \( x + y = t \) とする。すると、(1)より\[ \begin{align*}
\sin (x+y) & = \sin t
\\ & = t - \frac{1}{6} t^3 + \cdots
\\ & = (x+y) - \frac{1}{6} (x+y)^3 + \cdots
\end{align*} \]となる。

4.練習問題

では、4問ほど練習してみましょう!

練習1

次の2変数関数\[
f(x,y) = \frac{1}{1+x-y}
\]のマクローリン展開を2次の項まで求めなさい。

練習2

次の2変数関数\[
f(x,y) = \cos (2x + y)
\]の \( \left( \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{3} \right) \)  におけるテイラー展開を2次までの項を求めなさい。

練習4

次の2変数関数\[
f(x,y) = e^{x+y} \sin xy
\]について、つぎの問いに答えなさい。

(1) \( e^u \), \( \sin v \) のそれぞれの3次までのマクローリン展開を求めなさい。
(2) 2変数関数 \(   g(x,y) = e^{x+y} \), \( h(x,y) =  \sin xy \) の3次までのマクローリン展開を求めなさい。
(3) 2変数関数 \( f(x,y) \) の3次までのマクローリン展開を求めなさい。

5.練習問題の答え

解答1

まずは2次までの偏導関数と \( (0,0) \) における偏微分係数を求めていく\[\displaylines{
f(0,0) = 1 \\
f_x = - \frac{1}{(1+x-y)^2} \ \ \ f_x (0,0) = -1 \\
f_y = \frac{1}{(1+x-y)^2} \ \ \ f_y (0,0) = 1 \\
f_{xx} = \frac{2}{(1+x-y)^3} \ \ \ f_{xx} (0,0) = 2 \\
f_{xy} = - \frac{2}{(1+x-y)^3} \ \ \ f_{xy} (0,0) = -2 \\
f_{yy} = \frac{2}{(1+x-y)^3} \ \ \ f_{yy} (0,0) = 2
}\]となるのであとは公式に代入するだけ。\[\begin{align*}
f(x,y) & = f(0,0) + \frac{1}{1!} \left( f_x(0,0) x + f_y(0,0) y \right) \\ & + \frac{1}{2!} \left( f_{xx}(0,0) x^2 + \textcolor{red}{2} f_{xy} (0,0) xy + f_{yy}(0,0) y^2 \right)
\\ & = 1 - x + y + x^2 - 2xy + y^2
\end{align*} \]となる。

[別解]

\( x - y = t \) とする。ここで \( \frac{1}{1+t} \) の2次までのマクローリン展開を考えると、\[
\frac{1}{1+t} = 1 - t + t^2
\]となる。すると、\[ \begin{align*}
\frac{1}{1+x-y} & = \frac{1}{1+t}
\\ & = 1 - t + t^2
\\ & = 1 - (x-y) + (x-y)^2
\\ & = 1 - x + y + x^2 - 2xy + y^2
\end{align*} \]となる。

解答2

2次までの項なので \( f(x,y) \) の2次偏導関数と \( \left( \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{3} \right) \) における偏微分係数を求める。\[\displaylines{
f \left( \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{3} \right) = \cos \frac{2}{3} \pi = - \frac{1}{2} \\
f_x = -2 \sin (2x+y) \ \ \ \ \ f_x \left( \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{3} \right) = -2 \sin \frac{2}{3} \pi = - \sqrt{3} \\
f_y = - \sin (2x+y) \ \ \ \ \ f_y \left( \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{3} \right) = - \sin \frac{2}{3} \pi = - \frac{\sqrt{3}}{2} \\
f_{xx} = - 4 \cos (2x+y) \ \ \ \ \ f_{xx} \left( \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{3} \right) = - 4 \cos \frac{2}{3} \pi = 2  \\
f_{xy} = - 2 \cos (2x+y) \ \ \ \ \ f_{xy} \left( \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{3} \right) = -2 \cos \frac{2}{3} \pi = 1 \\
f_{yy} = - \cos (2x+y) \ \ \ \ \ f_{yy} \left( \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{3} \right) = \cos \frac{2}{3} \pi = \frac{1}{2}
}\]となるのであとは公式に代入するだけ。\[\begin{align*}
f(x,y)  & = - \frac{1}{2} - \sqrt{3} \left( x - \frac{\pi}{6} \right) - \frac{\sqrt{3}}{2} \left( y - \frac{\pi}{3} \right) \\ & + \left( x - \frac{\pi}{6} \right)^2 + \left( x - \frac{\pi}{6} \right) \left( y - \frac{\pi}{3} \right) + \frac{1}{4} \left( y - \frac{\pi}{3} \right)
\end{align*} \]となる。

解答4

(1) \[
e^u = 1 + u + \frac{1}{2} u^2 + \frac{1}{6} u^3 \]\[
\sin v = v - \frac{1}{6} v^3
\]となる。

(2) \( u = x + y \) とすると、\[\begin{align*}
e^{x+y} & = e^u
\\ & = 1 + u + \frac{1}{2} u^2 + \frac{1}{6} u^3
\\ & = 1 + (x+y) + \frac{1}{2} (x+y)^2 + \frac{1}{6} (x+y)^3
\end{align*} \]と求められる。

また、\( v = xy \) とすると、\[\begin{align*}
\sin xy & = \sin v
\\ & = v - \frac{1}{6} v^3
\\ & = xy - \frac{1}{6} x^3 y^3
\end{align*} \]と求められる。

(3)  \[\begin{align*}
e^{x+y} \sin xy & = \left( 1 + (x+y) + \frac{1}{2} (x+y)^2 + \frac{1}{6} (x+y)^3  \right) \left( xy - \frac{1}{6} x^3 y^3 \right)
\\ & = xy + (x+y)xy
\\ & = xy + x^2y +x  y^2
\end{align*} \]と求められる。

6.さいごに

今回は2変数のマクローリン展開およびテイラー展開に関するまとめでした。

2変数のマクローリン展開を求める際にはひたすら偏微分する脳筋スタイルではなく、\( t = x + y \) のように置換してから求めていくと簡単に求められることが多いです。なのでなるべく置換してから求めるのをおすすめします。(1変数の基本的なマクローリン展開の公式はできる限り覚えておきましょう)

*1:教科書などには \( C_n \) 級と書かれていることもあります。2変数関数 \( f(x,y) \) が \( C_n \) 級とは、\( n \) 回偏微分可能かつ \( n \) 次以下の導関数がすべて連続であることを示しています。例えば \( C_2 \) 級なら、2回偏微分可能かつ2次以下の導関数がすべて連続であることを表します。

*2: \( C_2 \) 級関数であれば必ず \( f_{xy} = f_{yx} \) が成り立つため

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