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こんにちは、ももやまです。
今回は陰関数表記された関数の極値を陽関数に戻すことなく求める方法について説明したいと思います。
うさぎでもわかる解析 前回の記事(Part21)はこちら!
(ラグランジュの未定乗数法を用いて条件が入った2変数関数の極値を求める方法について解説しています。)
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1.陰関数の極値の求め方
では、例題を1問解きながら実際に陰関数表記された式の極値を求める方法について説明していきましょう。
例題
陰関数表記の方程式\[
x^2 - xy - x + 2y - 1 = 0
\]で定まる関数 \( y = f(x) \) の極値を求めなさい。
解説
Step1:極値となりうる点を調べる(停留点)
まずは、極値の候補点を求めるために導関数 \( \frac{dy}{dx} \) を求めます。
陰関数表記の方程式 \( f(x,y) = 0 \) で定まる関数 \( y = g(x) \) が点 \( (a,b) \) において、\[
\frac{dy}{dx} (a,b ) = 0 \\ f(a,b) = 0
\]つまり点 \( (a,b) \) が \( f_x(a,b) = 0 \) かつ \( f_y(a,b) \not = 0 \) を満たすとき、点 \( (a,b) \) は極値を取る可能性がある(候補点)。
\[\begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = - \frac{f_x}{f_y}
\\ & = - \frac{2x - y - 1}{-x+2}
\\ & = - \frac{2x - y - 1}{2-x}
\end{align*}\]となる。
\[ \frac{dy}{dx} = 0 \]が成り立てばいいので \( 2x - y - 1 = 0 \)、つまり \( y = 2x - 1 \) を\[
x^2 - xy - x + 2y - 1 = 0
\]に代入する。\[\begin{align*} &
x^2 - x(2x-1) - x + 2(2x-1) - 1
\\ = & -x^2 + 4x - 3
\\ = & -(x-1)(x-3) = 0
\end{align*} \]となるので、\( x = 1,3 \) が候補点の \( x \) 座標となる。よって、候補点は\[
(x,y) = (1,1), (3,5)
\]の2点となる。
Step2:候補点が極大値・極小値かどうかを調べる
つぎに、候補点が極大値・極小値かを判定します。ここで極大値・極小値を判定するためには2次導関数 \( \frac{d^2 y}{dx^2} \) を求める必要があります。
2次導関数は、\[
\frac{d^2y}{dx^2} = - \frac{f_{xx} f_y^2 - 2 \ f_{xy} f_x f_y + f_{yy} f_x^2}{f_y^3}
\]と複雑な形でしたね。しかし、極値の候補点においては必ず \( f_x(a,b) = 0 \) となりますね。なので、\[\begin{align*}
\frac{d^2y}{dx^2} (a,b) & = - \frac{ f_{xx}(a,b) \cdot \left( f_y (a,b) \right)^2 }{ \left( f_y (a,b) \right)^3}
\\ & = - \frac{f_{xx}(a,b)}{f_y(a,b)}
\end{align*} \]
を調べると極大値・極小値かどうかを判定することができます。
陰関数表記の方程式 \( f(x,y) = 0 \) で定まる関数 \( y = g(x) \) が \( (x,y) = (a,b) \) が極大値・極小値を持つかは \( D (a,b) \) の値\[
D (a,b) = \frac{d^2y}{dx^2} (a,b ) = - \frac{f_{xx}(a,b)}{f_y(a,b)}
\]を求めることで求められる。
(1) \( D (a,b) \gt 0 \) のとき:\( x = a \) において極小値 \( y = g(a) = b \) をもつ
(2) \( D (a,b) \lt 0 \) のとき:\( x = a \) において極大値 \( y = g(a) = b \) をもつ
(3) \( D (a,b) = 0 \) のとき:個別に判定が必要
\( f_{xx} \) を計算すると、\( f_{xx} = 2 \) となります。
今回は、\( (1,1) \), \( (3,5) \) が候補点でしたね。
(1) \( (x,y) = (1,1) \) のとき\[
D (1,1) = - \frac{f_{xx}(1,1)}{f_y(1,1)} = - \frac{2}{1} = -2
\]となるので \( x = 1 \) のとき極大値1をもつことがわかります。
(2) \( (x,y) = (3,5) \) のとき\[
D (3,5) = - \frac{f_{xx}(1,1)}{f_y(3,5)} = - \frac{2}{-1} = 2
\]となるので \( x = 3 \) のとき極小値5をもつことがわかります。
(※陰関数の極値を求める際、極小値が極大値より大きい値が出ることがありますが、間違いではないので気にしないでください。)
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2.極値を求める流れ
では、極値を取る流れを確認していきましょう。
陰関数表記の方程式 \( f(x,y) = 0 \) で定まる関数 \( y = g(x) \) の極値は以下のステップで求める。
Step1:極値となりうる点(停留点)を\[
\frac{dy}{dx} = - \frac{f_x}{f_y} = 0 \\ f(x,y) = 0
\]を解くことにより求める。
Step2:極値となる点が極大値か極小値かを\[
D (a,b) = \frac{d^2y}{dx^2} (a,b ) = - \frac{f_{xx}(a,b)}{f_y(a,b)}
\]を計算することで確認する。
\( D (a,b) \gt 0 \) のとき → \( x = a \) のとき極小値 \( y = f(a) = b \)
\( D (a,b) \lt 0 \) のとき → \( x = a \) のとき極大値 \( y = f(a) = b \)
\( D (a,b) = 0 \) のとき → 不明
となる。
陰関数表記された方程式の極値の判定法
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3.練習
では、2問ですが練習してみましょう。
練習1
陰関数表記の方程式\[
x^2 + 2xy + 2y^2 - 1 = 0
\]で定まる関数 \( y = f(x) \) の極値を求めなさい。
練習2
陰関数表記の方程式\[
x^3-y^2-3x+2y + 1 = 0
\]で定まる関数 \( y = f(x) \) の極値を求めなさい。
4.練習問題の答え
解答1
Step1:極値の候補点を調べる
極値の候補点は\[
\frac{dy}{dx} = 0 \\ x^2 + 2xy + 2y^2 - 1 = 0
\]の両方を満たすものである。
導関数 \( \frac{dy}{dx} \) は、\[\begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = - \frac{f_x}{f_y}
\\ & = - \frac{2x+2y}{2x+4y}
\\ & = - \frac{x+y}{x+2y}
\end{align*} \]となる。
つまり、\( x + y = 0 \) かつ \( x + 2y \not = 0 \) であればよい。
\( y = -x \) とすると、\[\begin{align*} &
x^2 + 2x(-x) + 2(-x)^2 - 1
\\ = & x^2 - 2x^2 + 2x^2 - 1
\\ = & x^2 - 1 = 0
\end{align*} \]となるので、\( x = \pm 1 \) のときが候補点の \( x \) 座標である。
よって\[
(x,y) = (1,-1), (-1,1)
\]はともに \( x + 2y \not = 0 \) なので候補点の座標となる。
(必ず \( f_y = 0 \) を確認すること。)
Step2:候補点の極大極小を調べる
つぎに、それぞれの候補点が極大・極小を持つかを調べる。\[
f_{xx} = 2 \ \ f_y = 2x+4y
\]となるので、
(1) \( (x,y) = (1,-1) \) のとき\[\begin{align*}
D (1,-1) & = - \frac{f_{xx}(1,-1)}{f_y(1,-1)}
\\ & = - \frac{2}{-2} \\ & = 1 > 0
\end{align*}\]より、\( x = 1 \) のとき極小値-1となる。
(2) \( (x,y) = (-1,1) \) のとき\[\begin{align*}
D (1,-1) & = - \frac{f_{xx}(-1,1)}{f_y(-1,1)}
\\ & = - \frac{2}{2} \\ & = -1 > 0
\end{align*}\]より、\( x = -1 \) のとき極大値1となる。
解答2
極値の候補点は\[
\frac{dy}{dx} = 0 \\ x^3-y^2-3x+2y + 2 = 0
\]の両方を満たすものである。
導関数 \( \frac{dy}{dx} \) は、\[\begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = - \frac{f_x}{f_y}
\\ & = - \frac{3x^2-3}{-2y+2}
\\ & = \frac{3}{2} \cdot \frac{x^2-1}{1-y}
\end{align*} \]となる。
つまり、\( x^2-1 = 0 \) かつ \( 1-y \not = 0 \) であればよい。
\( x^2 - 1 \) は \( x = 1,-1 \) なのでそれぞれの \( x \) のときの候補点を求めていく。
(1) \( x = 1 \) のとき
\[\begin{align*} 1 - y^2 - 3 + 2y + 1 & =
-y^2 + 2y - 1 \\ & = -(y-1)^2 = 0
\end{align*} \]となるので、\( y = 1 \) が候補点の \( y \) の座標となりそうだが、\( 1 - y \not = 0 \) が条件なので \( (x,y) = (1,1) \) は候補点ではない。
(2) \( x = -1 \) のとき
\[\begin{align*} -1 - y^2 + 3 + 2y + 1 & =
-y^2 + 2y + 3 \\ & = -(y+1)(y-3)
\end{align*} \]となるので、\( y = 3,-1 \) が候補点の \( y \) の座標となる。\( 1 - y \not = 0 \) なので、候補点は\[
(x,y) = (-1,3), (-1,-1)
\]となる。
Step2:候補点の極大極小を調べる
つぎに、それぞれの候補点が極大・極小を持つかを調べる。\[
f_{xx} = 6x \ \ f_y = -2y+2
\]となるので、
(1) \( (x,y) = (-1,3) \) のとき\[\begin{align*}
D (-1,3) & = - \frac{f_{xx}(-1,3)}{f_y(-1,3)}
\\ & = - \frac{-6}{-4} \\ & = - \frac{3}{2} < 0
\end{align*}\]より、\( x = -1 \) のとき極大値3となる。
(2) \( (x,y) = (-1,-1) \) のとき\[\begin{align*}
D (-1,-1) & = - \frac{f_{xx}(-1,-1)}{f_y(-1,-1)}
\\ & = - \frac{-6}{4} \\ & = \frac{3}{2} > 0
\end{align*}\]より、\( x = -1 \) のとき極小値1となる。
(同じ \( x \) 座標に極大値と極小値が混在するのも陰関数の極値ならではです。)
5.さいごに
今回は、陰関数表記で表された関数の極値を求める方法についてまとめました。
次回からは再び積分範囲に入ります。
積分範囲では、2重積分についてやっていきたいと思います。
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