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こんにちは、ももやまです。
「1年前期の線形代数の試験まであと1日しかない、あきらめよう。」って思ってる人、諦めないでください!!
そこで、試験前日でも3時間あれば総復習ができるように10題の練習問題を作成しました!
- 80分間で問題を解く。答えを回答フォームに入力する。
- 答えを送信後、間違った箇所を確認し、解説を見てどこで間違えたのか(理解ができていないのか)を確認する。
- 間違えた箇所を参考書や記事などで練習する。
- 時間があれば、合っている箇所も確認する。(青色と赤色の枠部分)
- 寝る。
時間がある人はじっくり、時間がない人は素早くこの記事にて1年前期の線形代数の復習をしましょう!
それぞれの練習問題の解説では、
- 試験で必要な知識:青色の枠
- 試験で必要な解き方:赤色の枠
で要点をまとめています。
以下の分野は今回のテストでは出題していないため、もし復習したい方はリンク先の記事を御覧ください。
目次
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問題1. 知識チェック
次の(1)〜(4)の小問にそれぞれ答えなさい。
次の行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 1 \\ 2 & 4 \end{array} \right) , \ \ \ B = \left( \begin{array}{ccc} -1 & 3 \\ 2 & 4 \\ 0 & 0 \end{array} \right) \]\[
C = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 4 \\ -1 & 0 & 2 \end{array} \right) , \ \ \ D = \left( \begin{array}{ccc} -1 & 5 & 2 \\ -2 & 3 & 5 \\ 0 & 1 & 4 \end{array} \right)
\]について、以下の(i), (ii)の問いに答えなさい。
(i) 次の(ア)〜(エ)のうち、計算が定義される式は何個あるか。個数を回答欄に入力しなさい。[ 01 ]
(例えば正しい式が2つあれば、2と入力すること。)
(ア) \( A + D \)
(イ) \( B + C \)
(ウ) \( AD \)
(エ) \( BC \)
(ii) \( {}^t B {}^t C \) の計算結果は何行何列になるか。正しいものを1〜4の中から1つ選びなさい。
- 2行2列
- 2行3列
- 3行2列
- 3行3列
(i)
まずは、行列の和、積計算が定義されるかどうかを確認する問題です。
\( m \) 行 \( n \) 列の行列 \( A \)、\( m' \) 行 \( n' \) 列の行列 \( B \) が定義される条件は以下の通りである。
- 和 \( A + B \) → \( m = m' \) かつ \( n = n' \) がともに成立するとき
[2つの行列の大きさ(サイズ)が全く同じであればOK] - 積 \( AB \) → \( n = m' \) がともに成立するとき
[掛ける行列 \( A \) の列数と、掛けられる行列 \( B \) の行数が等しければOK]- さらに定義される場合、計算結果は \(m \) 行 \( n' \) 列の行列となる。
1つずつ確認しましょう。
(ア) \( A \) と \( D \) の大きさが異なるため×。
(イ) \( B \) と \( C \) の大きさが異なるため×。
(ウ) \( A \) の列数は2、\( D \) の行数は3なので×。
(エ) \( B \) の列数は2、\( C \) の行数も2なので○。
よって、計算が定義されるものは1つなので答えは1。
(ii)
次は、「転置行列」と「積計算が定義される場合の計算結果の行列の大きさ」についての問題です。
\( m \) 行 \( n \) 列である元の行列 \( A \) の行と列を入れ替えた行列のことを転置行列と呼び、\( {}^t A \) や \( A^T \) の記号で表される。また、転置行列の大きさは \( n \) 行 \( m \) 列となる。
例えば、\[
B = \left( \begin{array}{ccc} -1 & 3 \\ 2 & 4 \\ 0 & 0 \end{array} \right) , \ \ \ C = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 4 \\ -1 & 0 & 2 \end{array} \right)
\]であれば、転置行列は\[
{}^t B = \left( \begin{array}{ccc} -1 & 2 & 0 \\ 3 & 4 & 0 \end{array} \right) ,
\ \ \ {}^t C = \left( \begin{array}{ccc} 2 & -1 \\ 0 & 0 \\ 4 & 2 \end{array} \right)
\]となる。
今回の場合、
- \( B \) は3行2列 → 転置した行列 \( {}^t B \) は2行3列
- \( C \) は2行3列 → 転置した行列 \( {}^t C \) は3行2列
となるため、\( {}^t B {}^t C \)は 2行3列 × 3行2列 = 2行2列 となり、正解は1となる。
[正解]No.01: 1 (1点)
No.02: 1 (1点)
ある行列 \( A \) が逆行列 \( A^{-1} \) を持つための必要十分として適切なものを1〜4の中から1つ、5〜8の中から1つずつ選び、それぞれ回答欄に入力しなさい。
(1〜4の回答番号: [ 03 ], 5〜8の回答番号 [ 04 ])
- \( \mathrm{Rank} \ A = 1 \)
- \( \mathrm{Rank} \ A \not = 1 \)
- \( \mathrm{Rank} \ A = n \)
- \( \mathrm{Rank} \ A \not = n \)
- \( |A| = 0 \)
- \( |A| \not = 0 \)
- \( |A| > 0 \)
- \( |A| < 0 \)
ある行列 \( A \) が逆行列を持つとき、他にどんな性質があるかを聞いてくるタイプの問題は非常に重要です。
1年後期で習う線形代数でも必ず出てくるのでここでおさらいしておきましょう。
\( n \) 次正方行列 \( A \) に対して、以下の1〜4はすべて同値である。つまり、どれか1つが成り立てば残り3つも必ず成り立つ。
- 行列 \( A \) が逆行列 \( A^{-1} \) を持つ。
- 行列 \( A \) の階数が \( n \) である。
- \( |A| \not = 0 \)
- 連立方程式 \( A \vec{x} = \vec{0} \) の解は \( \vec{x} = \vec{0} \) のみ。
(自明な解 \( \vec{0} \) 以外を持たないって書かれている参考書が多い)
※ また、このような条件を満たす行列のことを正則な行列、正則行列と呼ぶ。
よって回答番号03の答えは3、回答番号04の答えは6となる。
[正解]No.03: 3 (1点)
No.04: 6 (1点)
\( m \) 行 \( n \) 列の係数行列 \( A \)、\( n \) 次元ベクトル \( \vec{x} \), \( \vec{b} \) からなる連立1次方程式 \( A \vec{x} = \vec{b} \) について、以下の(i)〜(iv)の問いに答えなさい。
(i) ある連立方程式が解を持つとする。このときの係数行列 \( A \)、および拡大係数行列 \( B = ( A | \vec{b} ) \) に成り立つ行列の階数の関係として正しいものを1〜4の中から1つ選び、回答欄に入力しなさい。回答番号: [ 05 ]
- \( \mathrm{Rank} \ A = \mathrm{Rank} \ B \)
- \( \mathrm{Rank} \ A \not = \mathrm{Rank} \ B \)
- \( \mathrm{Rank} \ A < \mathrm{Rank} \ B \)
- \( \mathrm{Rank} \ A > \mathrm{Rank} \ B \)
(ii) 連立方程式 \( A \vec{x} = \vec{b} \) がただ1つの解を持つとする。このときの解 \( \vec{x} \) は逆行列 \( A^{-1} \) を用いてどのように計算することができるか。正しいものを1〜5の中から1つ選び、回答欄に入力しなさい。回答番号: [ 06 ]
- \( \vec{x} = A \vec{b} \)
- \( \vec{x} = A^{-1} \vec{b} \)
- \( \vec{x} = A A^{-1} \vec{b} \)
- \( \vec{x} = A^{-1} A \vec{b} \)
- \( \vec{x} = A^2 \vec{b} \)
(iii) 連立方程式 \( A \vec{x} = \vec{b} \) が無数の解を持つとする。このときの係数行列 \( A \) の階数にはどのような関係があるか。正しいものを1〜4の中から1つ選び、回答欄に入力しなさい。回答番号: [ 07 ]
- \( \mathrm{Rank} \ A = m \)
- \( \mathrm{Rank} \ A < m \)
- \( \mathrm{Rank} \ A = n \)
- \( \mathrm{Rank} \ A < n \)
(iv) 連立方程式 \( A \vec{x} = \vec{b} \) が無数の解を持つとする。このときの解の自由度 \( k \) にはどのような関係があるか。正しいものを1〜4の中から1つ選び、回答欄に入力しなさい。ただし、自由度とは連立方程式の解 \( \vec{x} \) を全て表現するために必要な任意定数の個数のことである。回答番号: [ 08 ]
- \( k = \mathrm{Rank} \ A \)
- \( k = \mathrm{Rank} \ A - m \)
- \( k = \mathrm{Rank} \ A - n \)
- \( k = m - \mathrm{Rank} \ A \)
- \( k = n - \mathrm{Rank} \ A \)
連立方程式 \( A \vec{x} = \vec{b} \) の係数行列 \( A \)、および拡大係数行列 \( B = ( A | \vec{b} ) \) の階数の関係も非常に重要なのでおさらいしておきましょう。
\( n \) 元連立1次方程式 \( A \vec{x} = \vec{b} \) の解がどのようになるかは、\( n \) 列の係数行列 \( A \)、および拡大係数行列 \( B = ( A | \vec{b} ) \) の階数を確認することで判定ができる。
- 解を持たない場合 \( \mathrm{Rank} \ A < \mathrm{Rank} \ B \)
- 解を1つ持つ場合 \( \mathrm{Rank} \ A = \mathrm{Rank} \ B = n \)
- 無数の解を持つ場合 \( \mathrm{Rank} \ A = \mathrm{Rank} \ B < n \)
→ 全ての解を表現する際に必要な任意定数の数(自由度): \( n - \mathrm{Rank} \ A \)
よって回答番号05の答えは1、回答番号07の答えは2、回答番号08の答えは4となる。
また、(ii) の連立方程式 \( A \vec{x} = \vec{b} \) の左端に \( A^{-1} \) を掛けると、\[ \begin{align*}
A^{-1} A \vec{x} & = A^{-1} \vec{b} \\
\vec{x} & = A^{-1} \vec{b}
\end{align*} \]と変形できるため、回答番号06の答えは2となる。
No.05: 1 (1点)
No.06: 2 (1点)
No.07: 4 (1点)
No.08: 5 (1点)
次の1〜8の式のうち、必ず成り立つとは言えない関係式、文章を1〜4から1つ、5〜8から1つ選び、それぞれ回答欄に入力しなさい。ただし、行列 \( A \), \( B \) は \( n \) 行 \( n \) 列(\( n \) 次)正方行列、行列 \( E \) は \( n \) 次単位行列である。
(1〜4の回答番号: [ 09 ], 5〜8の回答番号 [ 10 ])
- \( A + B = B + A \)
- \( AB = BA \)
- \( |A| |B| = |AB| \)
- \( {}^t (AB) = {}^t B {}^t A \)
- \( \mathrm{Rank} \ A = n \) のとき、連立方程式 \( A \vec{x} = \vec{0} \) は無数の解を持つ。
- \( AE = EA \)
- \( |A| = |{}^t A| \)
- \( (AB)^{-1} = B^{-1} A^{-1} \)
それぞれ簡単にに解説していきましょう。
- \( A + B = B + A \)
→ 行列の足し算は順番を入れ替えても結果は変わらない。よって正しい。 - \( AB = BA \)
→ 行列の掛け算は順番を入れ替えると結果が変わることがある。よって誤り。 - \( |A| |B| = |AB| \)
→ 正しい。この性質は軽く覚えておくといいかも。 - \( {}^t (AB) = {}^t B {}^t A \)
→ 正しい。一応余裕がある人は念の為覚えておこう。 - \( \mathrm{Rank} \ A = n \) のとき、連立方程式 \( A \vec{x} = \vec{0} \) は無数の解を持つ。
→ \( \mathrm{Rank} \ A = n \) のときの解は、\( \vec{x} = \vec{0} \) のみなので、無数の解を持たない。誤り。 - \( AE = EA \)
→ 行列の掛け算は順番を入れ替えても結果が変わることがあるのが基本だが、どちらかが単位行列であれば入れ替えても結果は変わらない。正しい。 - \( |A| = |{}^t A| \)
→ 行列を転置させても行列式は変わらない。正しい。 - \( (AB)^{-1} = B^{-1} A^{-1} \)
→ 正しい。こちらも余裕がある人は覚えておこう。
よって回答番号09の答えは2、回答番号10の答えは5となる。
[正解]No.09: 2 (1点)
No.10: 5 (1点)
行列の計算、転置行列、逆行列において抑えるポイントをまとめておくので確認しましょう!
行列式を転置させても行列式は変わらない。つまり、\[
|A| = |{}^t A|
\]が常に成立する。
(1) 行列の足し算は順番を入れ替えても結果は変わらない。つまり、\[
A+B = B+A
\]である。
(2) 行列の掛け算は順番を入れ替えると結果が変わる。つまり、\[
AB \not = BA
\]である。ただし、どちらが単位行列 \( E \) であれば入れ替えても結果は変わらない。つまり、\[
AE = EA
\]である。
(3) \( n \) 次正方行列 \( A \), \( B \) に対して、以下の数式が成り立つ。 \[
{}^t (AB) = {}^t B {}^t A
\]
(4) 逆行列を持つ \( n \) 次正方行列 \( A \), \( B \) に対して、以下の数式が成り立つ。\[
(AB)^{-1} = B^{-1} A^{-1}
\]
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問題2. 行列の計算
次の行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 4 & 2 \\ -2 & 3 & 5 \\ 0 & 1 & -4 \end{array} \right) , \ \ \
B = \left( \begin{array}{ccc} -1 & -3 & 0 \\ -2 & 2 & 1 \\ 1 & 4 & 5 \end{array} \right)
\]に対し、以下の(1)〜(3)の演算を行い、計算結果の数値を [ 11 ]〜[ 20 ] に入力しなさい。ただし、番号が記入されず、空欄になっている部分については回答をしなくてもよい。(問題3以降も同様)
(1)\[
2A + B = \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ 11 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ 12 \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ 13 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ 14 \ \ \right] \end{array} \right)
\]
(2)\[
AB = \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ 15 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ 16 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ 17 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \end{array} \right)
\]
(3)\[
BA = \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ 18 \ \ \right] & \left[ \ \ 19 \ \ \right] & \left[ \ \ 20 \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \end{array} \right)
\]
(1)
\[\begin{align*}
2A + B & = 2 \left( \begin{array}{ccc} 1 & 4 & 2 \\ -2 & 3 & 5 \\ 0 & 1 & -4 \end{array} \right) + \left( \begin{array}{ccc} -1 & -3 & 0 \\ -2 & 2 & 1 \\ 1 & 4 & 5 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 2-1 & 8-3 & 4+0 \\ -4-2 & 6+2 & 10+1 \\ 0+1 & 2+4 & -8+5 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 5 & 4 \\ -6 & 8 & 11 \\ 1 & 6 & -3 \end{array} \right)
\end{align*} \]
[正解]
No.11: 1 (1点)
No.12: 4 (1点)
No.13: 1 (1点)
No.14: -3 (1点)
(2)
\[\begin{align*}
AB & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 4 & 2 \\ -2 & 3 & 5 \\ 0 & 1 & -4 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} -1 & -3 & 0 \\ -2 & 2 & 1 \\ 1 & 4 & 5 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} -1-8+2 & -3+8+8 & 0+4+10 \\ 2-6+5 & 6+6+20 & 0+3+25 \\ 0-2-4 & 0+2-16 & 0+1-20 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} -7 & 13 & 14 \\ 1 & 32 & 28 \\ -6 & -14 & -19 \end{array} \right)
\end{align*} \]
[正解]
No.15: -7 (1点)
No.16: 1 (1点)
No.17: -6 (1点)
\[\begin{align*}
BA & = \left( \begin{array}{ccc} -1 & -3 & 0 \\ -2 & 2 & 1 \\ 1 & 4 & 5 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 1 & 4 & 2 \\ -2 & 3 & 5 \\ 0 & 1 & -4 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} -1+6+0 & -4-9+0 & -2-15+0 \\ -2-4+0 & -8+6+1 & -4+10-4 \\ 1-8+0 & 4+12+5 & 2+20-20 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 5 & -13 & -17 \\ -6 & -1 & 2 \\ -7 & 21 & 2 \end{array} \right)
\end{align*} \]
[正解]
No.18: -6 (1点)
No.19: -1 (1点)
No.20: 2 (1点)
注意点
- 行列の掛け算は特に計算ミスしやすいので、時間があれば2回計算しましょう。
- 行列の積の計算順序があやふやな人は、必ずこちらの記事で復習しましょう。
- 試験がマーク式であれば、解答に関係ない要素の計算は時間の無駄なので絶対にしないこと。
(こちらの解説では記述式を想定した答案を書いています。)
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問題3. 行列の階数計算 (Level. 1)
下の行基本変形は、行列 \( A \) の階数を計算するための計算の一部である。次の(1), (2)の問いに答えなさい。\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 1 & 2 & 3 & 3 \\ -3 & -1 & -4 & 1 \end{array} \right) \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 2 & 2 & 4 \\ \left[ \ \ 21 \ \ \right] & -1 & \left[ \ \ 22 \ \ \right] & \left[ \ \ 23 \ \ \right] \end{array} \right)
\]
(1) 回答欄 [ 21 ] 〜 [ 23 ] に当てはまる数値を入力しなさい。
(2) 行列 \( A \) の階数は[ 24 ] となる。(階数を入力しなさい)
まずは、行列の階数を求める方法
- 以下の行基本変形の3つのルールを用いて、階段行列(下に行けばいくほど左側の0の数が増えていく行列)を作成する
- ある1つの行を定数倍(定数分の1倍)する
- 2つの行を入れ替える
- 1つの行から他の行を何倍かしたものを加える or 引く
- 階段行列を作ったあと、階段行列の中で成分が全部0ではない行の数が階段行列となる。
※ 行基本変形の最中には極力分数を出さないこと!
※ 左側の0の隣が1になっている必要はない。例えば、\[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 \\ 0 & \textcolor{red}{2} & 1 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\]となっている場合、2行目をわざわざ1/2倍して赤色成分を1にする必要はない。
※ 行列の階数についてのより詳しい解説がみたい方はこちら!
(1)
\[\begin{align*}
A & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 1 & 2 & 3 & 3 \\ -3 & -1 & -4 & 1 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 2 & 2 & 4 \\ 0 & -1 & -1 & -2 \end{array} \right)
\end{align*} \]と変形できる。
No.21: 0 (2点)
No.22: -1 (2点)
No.23: -2 (2点)
(2)
さらに行基本変形を続けると、\[\begin{align*}
A & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 1 & 2 & 3 & 3 \\ -3 & -1 & -4 & 1 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 2 & 2 & 4 \\ 0 & -1 & -1 & -2 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 2 & 2 & 4 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]と階段行列にできる。
階段行列の中で成分が全部0ではない行の数は2行なので、階数は2となる。
[正解]No.24: 2 (4点)
(階段行列の形になったタイミングで変形は止めましょう。)
問題4. 行列の階数計算 (Level. 2)
次の(1)〜(5)で示された行列の階数をそれぞれの回答欄 [ 25 ] 〜 [ 29 ] に入力しなさい。
(1) 階数: [ 25 ] \[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{array} \right)
\]
(2) 階数: [ 26 ] \[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -3 & 2 \\ 2 & -6 & 4 \\ -3 & 9 & -6 \end{array} \right)
\]
(3) 階数: [ 27 ] \[
\left( \begin{array}{ccc} 0 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 2021 \\ 0 & 3 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\]
(4) 階数: [ 28 ] \[
\left( \begin{array}{ccc} 0 & 3 & 0 & 0 \\ -2 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 5 & 0 & 0 \\ 0 & -8 & 0 & 0 \end{array} \right)
\]
(5) 階数: [ 29 ] \[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 & 4 & 5 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 3 \\ 0 & 0 & 1 & -2 & 7 \\ 0 & 0 & 0 & 0& -4 \\ 0 & 0 & 0 & 0& 1 \end{array} \right)
\]
(1) すでに階段行列の形になっているため行基本変形の必要はない。
階段行列の中で成分が全部0ではない行の数は3行なので、階数は3となる。
(2) \[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -3 & 2 \\ 2 & -6 & 4 \\ -3 & 9 & -6 \end{array} \right) \to
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -3 & 2 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\]と階段行列にできる。よって、階数は1。
(3) \[
\left( \begin{array}{ccc} 0 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 2021 \\ 0 & 3 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right) \to \left( \begin{array}{ccc} 0 & 3 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 2021 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\]と階段行列にできる。よって階数は2。
(4) \[\begin{align*}
\left( \begin{array}{ccc} 0 & 3 & 0 & 0 \\ -2 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 5 & 0 & 0 \\ 0 & -8 & 0 & 0 \end{array} \right)
& \to \left( \begin{array}{ccc} -2 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 3 & 0 & 0 \\ 0 & 5 & 0 & 0 \\ 0 & -8 & 0 & 0 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} -2 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 3 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]と階段行列にできる。よって階数は2。
(5) \[\begin{align*}
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 & 4 & 5 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 3 \\ 0 & 0 & 1 & -2 & 7 \\ 0 & 0 & 0 & 0& -4 \\ 0 & 0 & 0 & 0& 1 \end{array} \right)
& \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 & 4 & 5 \\ 0 & 0 & 1 & -2 & 7 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 3 \\ 0 & 0 & 0 & 0& -4 \\ 0 & 0 & 0 & 0& 1 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 & 4 & 5 \\ 0 & 0 & 1 & -2 & 7 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 3 \\ 0 & 0 & 0 & 0& 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0& 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]と階段行列にできる。よって階数は3。
No.25: 3 (2点)
No.26: 1 (2点)
No.27: 2 (2点)
No.28: 2 (2点)
No.29: 3 (2点)
問題5. 行列の階数計算 (Level. 3)
次の行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 2 \\ 2 & 3 & 4 \\ 3 & -2 & a \end{array} \right)
\]の階数は、定数 \( a \) の値によって変化する。[ 30 ] 〜 [ 32 ] に当てはまる数値を入力しなさい。
(1) \( a = \left[ \ \ 30 \ \ \right] \) のとき、行列 \( A \) の階数は [ 31 ] となる。
(2) \( a \not = \left[ \ \ 30 \ \ \right] \) のとき、行列 \( A \) の階数は [ 32 ] となる。
行列 \( A \) を行基本変形する。
\[\begin{align*}
A & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 2 \\ 2 & 3 & 4 \\ 3 & -2 & a \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 2 \\ 0 & 5 & 0 \\ 0 & -5 & a-6 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 2 \\ 0 & 5 & 0 \\ 0 & 0 & a-6 \end{array} \right)
\end{align*} \]と階段行列に変形できる。
よって、\( a = 6 \) であれば、階段行列の3行目の成分が全て0となるため、階数は2となる。一方 \( a \not = 6 \) であれば、階段行列の3行目の成分に0以外があるため、階数は3となる。
[正解]No.30: 6 (4点)
No.31: 2 (3点)
No.32: 3 (3点) [部分的別解]
行基本変形が苦手だなという人は、行列式(サラスの公式)を使う方法もある。この場合、\[\begin{align*}
|A| & = \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 2 \\ 2 & 3 & 4 \\ 3 & -2 & a \end{array} \right|
\\ & = 3a -12 -8 - (18 - 2a -8)
\\ & = 5a - 30
\end{align*}\]となるので、\( |A| = 5a -30 \not = 0 \) のとき行列の階数は3、それ以外( \( a = 6 \) )のときは行列の階数が2になることがわかる。
問題6. 逆行列
※ マーク番号を入れた箇所がすべて \( (-1)^{i+j} = 1 \) となるため、余因子で解いた人は、余因子の-1倍を忘れてしまった場合でも偶然正解できてしまいます。ご了承ください。
(※そのため、2022年6月中旬以降にマークの穴の箇所を変えたいと思います)
(1) 行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & -2 & 1 \\ -3 & 1 & -1 \\ -4 & 1 & -1 \end{array} \right)
\]の逆行列を計算すると、\[
A^{-1} = \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ 33 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ 34 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ 35 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ 36 \ \ \right] \end{array} \right)
\]となる。
(2) ある正方行列 \( B \) が逆行列を持つとする。このとき、行列 \( B \) と逆行列 \( B^{-1} \) に対して必ず成り立つ式を1〜4から1つ選び、番号で答えなさい。
- \( B B^{-1} = O \)
- \( B B^{-1} = E \)
- \( B B^{-1} = B \)
- \( B B^{-1} = B^{-1} \)
(1) その1:掃き出し法で解く方法(おすすめ)
ある行列 \( A \) に単位行列をくっつけて、\[
( A | E ) \to ( E | A^{-1} )
\]となるように行基本変形をしていく。
(行基本変形のルールは階段行列のときと同じ)
※ 行基本変形の最中には極力分数を出さないこと!
※ 掃き出し法による詳しい計算方法はこちらで確認してください。
今回の場合、\[\begin{align*}
(A|E) & = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & -2 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ -3 & 1 & -1 & 0 & 1 & 0 \\ -4 & 1 & -1 & 0 & 0 & 1 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & -2 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & -5 & 2 & 3 & 1 & 0 \\ 0 & -7 & 3 & 4 & 0 & 1 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & -2 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & -1 & -1 & 1 & -1 \\ 0 & -7 & 3 & 4 & 0 & 1 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & -2 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & -1 & -1 & 1 & -1 \\ 0 & -14 & 6 & 8 & 0 & 2 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 2 & -1 & -1 & 1 & -1 \\ 0 & 0 & -1 & 1 & 7 & -5 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 2 & -1 & -1 & 1 & -1 \\ 0 & 0 & 1 & -1 & -7 & 5 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 2 & 0 & -2 & -6 & 4 \\ 0 & 0 & 1 & -1 & -7 & 5 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 1 & 0 & -1 & -3 & 2 \\ 0 & 0 & 1 & -1 & -7 & 5 \end{array} \right)
\\ & = (E | A^{-1})
\end{align*} \]となるため、逆行列は\[
A^{-1} = \left( \begin{array}{ccc} 0 & 1 & -1 \\ -1 & -3 & 2 \\ -1 & -7 & 5 \end{array} \right)
\]となる。
No.33: 0 (2点)
No.34: -3 (2点)
No.35: -1 (2点)
No.36: 5 (2点)
(2) その2:余因子を用いて解く方法
まずは、余因子とはなにかを確認しておきましょう。
ある行列から、特定の行( \( \textcolor{deepskyblue}{i} \) 行)と列(\( \textcolor{magenta}{j}\) 列)を除いた行列の行列式のことを余因子といい、記号 \( \Delta_{\textcolor{deepskyblue}{i} \textcolor{magenta}{j}} \) で表す。
ただし、行番号 \( i \) と列番号 \( j \) の和 \( i + j \) が奇数の場合、余因子は-1倍される。
例えば、行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} \textcolor{red}{1} & \textcolor{red}{-2} & \textcolor{red}{1} \\ -3 & \textcolor{red}{1} & -1 \\ -4 & \textcolor{red}{1} & -1 \end{array} \right)
\]の1行2列の余因子 \( \Delta_{12} \) は、\[
\Delta_{\textcolor{deepskyblue}{1} \textcolor{magenta}{2}} = (-1)^{\textcolor{deepskyblue}{1} + \textcolor{magenta}{2}} \left| \begin{array}{ccc} -3 & -1 \\ -4 & -1 \end{array} \right|
\]で計算できる。
※ \( \textcolor{deepskyblue}{i} + \textcolor{magenta}{j} \) が奇数であれば-1倍というのは、\( (-1)^{\textcolor{deepskyblue}{i} + \textcolor{magenta}{j}} \) で表現可能
早速、行列 \( A \) のすべての余因子成分を求めていきましょう。
\[\begin{align*}
\Delta_{11} & = (-1)^{1+1} \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 \\ 1 & -1 \end{array} \right| = 0 \\
\Delta_{12} & = (-1)^{1+2} \left| \begin{array}{ccc} -3 & -1 \\ -4 & -1 \end{array} \right| = 1 \\
\Delta_{13} & = (-1)^{1+2} \left| \begin{array}{ccc} -3 & 1 \\ -4 & 1 \end{array} \right| = 1 \\
\Delta_{21} & = (-1)^{2+1} \left| \begin{array}{ccc} -2 & 1 \\ 1 & -1 \end{array} \right| = -1 \\
\Delta_{22} & = (-1)^{2+2} \left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 \\ -4 & -1 \end{array} \right| = 3 \\
\Delta_{23} & = (-1)^{2+3} \left| \begin{array}{ccc} 1 & -2 \\ -4 & 1 \end{array} \right| = 7 \\
\Delta_{31} & = (-1)^{3+1} \left| \begin{array}{ccc} -2 & 1 \\ 1 & -1 \end{array} \right| = 1 \\
\Delta_{32} & = (-1)^{3+2} \left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 \\ -3 & -1 \end{array} \right| = -2 \\
\Delta_{33} & = (-1)^{3+3} \left| \begin{array}{ccc} 1 & -2 \\ -3 & 1 \end{array} \right| = -5 \\
\end{align*}\]
余因子求めたら、
- 対応する形で余因子を並べ、余因子行列 \( \tilde{A} \) を作る
- 行列 \( A \) の行列式 \( |A| \) を求める。
- \( 1/|A| \) 倍し、逆行列 \( A^{-1} \) を求める
の順で逆行列を求めます。
ある行列 \( A \) の余因子を元の行列に対応する形で並べ、さらに転置させた行列のことを余因子行列と呼び、\( \tilde{A} \) で表す。\[
\tilde{A} = \left( \begin{array}{ccc} \Delta_{11} & \Delta_{12} & \Delta_{13} \\ \Delta_{21} & \Delta_{22} & \Delta_{23} \\ \Delta_{31} & \Delta_{32} & \Delta_{33} \end{array} \right)^T
= \left( \begin{array}{ccc} \Delta_{11} & \Delta_{21} & \Delta_{31} \\ \Delta_{12} & \Delta_{22} & \Delta_{32} \\ \Delta_{13} & \Delta_{23} & \Delta_{33} \end{array} \right)
\]※ システムの都合上、転置行列を \( A^T \) としています。
さらに逆行列 \( A^{-1} \) は、余因子行列 \( \tilde{A} \) を用いて、\[
A^{-1} = \frac{1}{|A|} \tilde{A}
\]と求めることができる。
※ 余因子を使った逆行列のより詳しい内容・演習はこちらの記事を御覧ください
今回の場合、余因子行列 \( \tilde{A} \) は、\[\begin{align*}
\tilde{A} & = \left( \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 1 \\ -1 & 3 & 7 \\ 1 & -2 & -5 \end{array} \right)^T
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 0 & -1 & 1 \\ 1 & 3 & -2 \\ 1 & 7 & -5 \end{array} \right)
\end{align*}\]と求められますね。
次に、行列式を求めます。\[\begin{align*}
|A| & = \left| \begin{array}{ccc} 1 & -2 & 1 \\ -3 & 1 & -1 \\ -4 & 1 & -1 \end{array} \right|
\\ & = -1 - 8 -3 - (-4-6-1)
\\ & = -12 + 11
\\ & = -1
\end{align*} \]
よって、逆行列 \( A^{-1} \) は\[\begin{align*}
A & = \frac{1}{|A|} \tilde{A}
\\ & = \frac{1}{-1} \left( \begin{array}{ccc} 0 & -1 & 1 \\ 1 & 3 & -2 \\ 1 & 7 & -5 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 0 & 1 & -1 \\ -1 & -3 & 2 \\ -1 & -7 & 5 \end{array} \right)
\end{align*}\]となります。
No.33: 0 (2点)
No.34: -3 (2点)
No.35: -1 (2点)
No.36: 5 (2点)
- i 行 j 列の i+j が奇数になっている部分の余因子は-1倍されること
- 余因子行列は、転置された形になっていること
- 最後に \( 1/|A| \) 倍をするのを忘れないこと
(2) 逆行列の定義を確かめる問題。
ある行列 \( A \) に対して、\[
AX = XA = E
\]となるような行列 \( X \) のことを逆行列と呼び、\( A^{-1} \) で表す。
※ 超重要定義なのはもちろんだが、検算にも超使えるので覚えておこう!
よって、答えは2。この問題は、検算をしてほしいいう意図もあり、出題しております。
試験の際には逆行列を計算したあとに、必ず \( A A^{-1} = E \) となることを検算しましょう! 精神的にも余裕が出ますよ!!
[正解]No.37: 2 (2点)
問題7. 連立1次方程式 (Level. 1)
次の連立1次方程式\[ \left\{ \begin{array}{l}
\ \ \ \ \ x \ \ \ \ \ \ \ \ \ + \ \ z = -1 \\
- \ \ x - 3y + 2z = -2 \\
\ \ \ 2x - \ \ y + 3z = -3
\end{array} \right. \]を解くと、一般解は任意定数 \( k \) を用いて、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right)
= k \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ 38 \ \ \right] \\ 1 \\ 1 \end{array} \right)
+ \left( \begin{array}{ccc} -1 \\ \left[ \ \ 39 \ \ \right] \\ 0 \end{array} \right)
\]と表すことができる。
まず、連立方程式を行列を用いて解く方法を確認しましょう。
連立方程式を行列を用いて解く場合は、以下の1〜4のステップで解くことができる。
- 連立方程式の係数を並べた係数行列 \( A \)、右辺の数値を並べたベクトル \( \vec{b} \) から、拡大係数行列 \( B = (A| \vec{b} \) を作る。
- 拡大係数行列 \( B = (A| \vec{b} \) を階段行列に行基本変形することで、連立方程式を簡単にする。
- 係数行列の列数(連立方程式の文字数) \( n \) と係数行列 \( A \) の階数から、すべての解を表現するために必要な任意定数の数(自由度)を \( n - \mathrm{Rank} \ A \) から求める。
- 必要な任意定数の数だけ文字をおき、すべての解を表現する。
連立方程式は、\[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ -1 & -3 & 2 \\ 2 & -1 & 3 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} -1 \\ -2 \\ -3 \end{array} \right)
\]と行列を用いた \( A \vec{x} = \vec{b} \) の形に変形することができる。
次に、拡大係数行列 \( (A | \vec{b} ) \) を行基本変形することで式を簡略化する。\[\begin{align*}
(A| \vec{b}) & = \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 1 & -1 \\ -1 & -3 & 2 & -2 \\ 2 & -1 & 3 & -3 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & -3 & 3 & -3 \\ 0 & -1 & 1 & -1 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & -3 & 3 & -3 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 1 & -1 \\ 0 & 1 & -1 & 1 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]
ここで、変形後の拡大係数行列より、連立方程式を\[ \left\{ \begin{array}{l}
x+z = -1 \\ y-z=1
\end{array} \right. \]と変形することができる。
ここで、問題文の通り \( z = k \) とすると、\( y = k+1 \), \( x = -k - 1 \) となるので、一般解は、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right)
= k \left( \begin{array}{ccc} -1 \\ 1 \\ 1 \end{array} \right)
+ \left( \begin{array}{ccc} -1 \\ 1 \\ 0 \end{array} \right)
\]となる。
※ 今回は問題文に任意定数 \( k \) を使うことが指定されているので、必要な任意定数の個数 \( n - \mathrm{Rank} \ A \) は計算していません。記述式などで誘導がない場合でも自力で計算できるようにしておきましょう。
[正解]No.38: -1(5点)
No.39: 1 (5点) [邪道なやり方](次の問題8でも使えます)
\( k = 0 \) とする。すると、問題文より \( x = -1 \), \( z = 0 \) となるので、いずれかの式に代入すると \( y = 1 \) が求まる。よって [ 39 ] の答えは1。
つぎに、\( k = 1 \) とする。すると、問題文より \( y = 2 \), \( z = 1 \) となるので、いずれかの式に代入すると \( x = -2 \) が求まる。ここで、\( k = 0 \) のとき \( x = -1 \) なので、\( k \) が1増えると \( x \) は1減ることがわかる。よって [ 38 ] の答えは-1。
問題8. 連立1次方程式 (Level. 2)
次の連立1次方程式\[ \left\{ \begin{array}{l}
\ \ \ 3 x \ \ \ \ \ \ \ \ \ + \ \ z + 3 w = -1 \\
\ \ \ 4 x - \ \ y - \ \ z + 4 w = -2 \\
- 5x + 2y + 3z - 5w = a
\end{array} \right. \]について考える。次の(1), (2)の問いに答えなさい。
(1) \( a = \left[ \ \ 40 \ \ \right] \) のとき、連立1次方程式は解を持つ。
(2) \( a = \left[ \ \ 40 \ \ \right] \) とする。このときの一般解は任意定数 \( s \), \( t \) を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \\ w \end{array} \right)
= s \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ \left[ \ \ 41 \ \ \right] \\ -3 \\ 0 \end{array} \right)
+ t \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 7 \\ \left[ \ \ 42 \ \ \right] \\ 1 \end{array} \right)
+ \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ \left[ \ \ 43 \ \ \right] \\ -1 \\ 0 \end{array} \right)
\]と表すことができる。
(1) 問題7と同様にまずは拡大係数行列を作りましょう。すると、\[
\left( \begin{array}{cccc|c} 3 & 0 & 1 & 3 & -1 \\ 4 & -1 & -1 & 4 & -2 \\ -5 & 2 & 3 & -5 & a \end{array} \right) = (A | \vec{b} )
\]となります。まずは、この行列を行基本変形しましょう。\[\begin{align*}
(A| \vec{b}) & = \left( \begin{array}{cccc|c} 3 & 0 & 1 & 3 & -1 \\ 4 & -1 & -1 & 4 & -2 \\ -5 & 2 & 3 & -5 & a \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{cccc|c} -1 & 1 & 2 & -1 & 1 \\ 4 & -1 & -1 & 4 & -2 \\ -5 & 2 & 3 & -5 & a \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{cccc|c} -1 & 1 & 2 & -1 & 1 \\ 0 & 3 & 7 &0 & 2 \\ 0 & -3 & -7 & 0 & a-5 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{cccc|c} -1 & 1 & 2 & -1 & 1 \\ 0 & 3 & 7 &0 & 2 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & a-3 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{cccc|c} 3 & -3 & -6 & 3 & -3 \\ 0 & 3 & 7 &0 & 2 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & a-3\end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{cccc|c} 3 & 0 & 1 & 3 & -1 \\ 0 & 3 & 7 &0 & 2 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & a-3\end{array} \right)
\end{align*} \]
行列が解を持つためには、係数行列 \( A \) と拡大係数行列 \( (A \vec{b} ) \) の階数が一致すればよい。そのためには、\(a -3 = 0 \) を満たす必要がある。よって、\( a = 3 \) のとき、連立1次方程式は解を持つことがわかる。
(2) \( a = 3 \) のとき、変形後の拡大係数行列より、連立方程式を\[ \left\{ \begin{array}{l}
3x + z + 3w = -1 \\ 3y + 7z = 2
\end{array} \right. \]と変形することができる。
ここで問題文の通り、\( x = s \), \( w = t \) とすると、\( z = -3s - 3t -1 \) となる。さらに、\[\begin{align*}
3y & = 2 - 7z
\\ & = 2 - 7(-3s-3t-1)
\\ & = 21s + 21t + 9
\end{align*}\]となるため、\( y = 7s + 7t + 3 \) となる。
よって一般解は、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \\ w \end{array} \right)
= s \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 7 \\ -3 \\ 0 \end{array} \right)
+ t \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 7 \\ -3 \\ 1 \end{array} \right)
+ \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 3 \\ -1 \\ 0 \end{array} \right)
\]となる。
※ 今回は問題文に任意定数 \( s \), \( t \) を使うことが指定されているので、必要な任意定数の個数 \( n - \mathrm{Rank} \ A \) は計算していません。記述式などで誘導がない場合でも自力で計算できるようにしておきましょう。
[正解]No.40: 3 (4点)
No.41: 7 (2点)
No.42: -3 (2点)
No.43: 3 (2点)
問題9. 行列式 (Level. 1)
※ 2021/6/8修正:赤色で示された部分の数値が誤っていました。申し訳ございません。
[誤] -3 → [正] 3
以下の式は、行列式を計算するために変形を行ったものである。次の(1), (2)の問いに答えなさい。\[\begin{align*}
\left| \begin{array}{ccc} -9 & 0 & 6 & 0 \\ -2 & 0 & 1 & -1 \\ 5 & 2 & 1 & 1 \\ 5 & 0 & -3 & 0 \end{array} \right| & = \left[ \ \ 44 \ \ \right] \left| \begin{array}{ccc} 3 & 0 & -2 & 0 \\ -2 & 0 & 1 & -1 \\ 5 & 2 & 1 & 1 \\ 5 & 0 & -3 & 0 \end{array} \right|
\\ & = \left[ \ \ 44 \ \ \right] \cdot \left[ \ \ 45 \ \ \right] \left| \begin{array}{ccc} \textcolor{red}{3} & \left[ \ \ 46 \ \ \right] & 0 \\ -2 & 1 & -1 \\ 5 & -3 & 0 \end{array} \right|
\end{align*}\]
(1) 回答欄 [ 44 ] 〜 [ 46 ] に当てはまる数値を入力しなさい。
(2) 行列式 \( |A| \) の値は [ 47 ] となる。
(1) 与えられた数式からどのような変形をしているかを読み取る問題
1箇所目の変形に注目すると、1行目の成分がすべて-1/3倍されている。ここで、1行を -1/3 倍すると、行列式の値も-1/3 倍になってしまうため、行列式の値を等しくするためには外に-3倍を掛ける必要がある。よって、[ 44 ] の答えは -3。
2箇所目の変形に注目すると、4×4の行列式が3×3の行列式になっていることがわかる。ここから、(1つの成分以外が0の)ある行 or 列に対して、余因子展開を行ったものだとわかる。さらに、1つの成分以外の0の列が2列目にあることから、2列目に対して余因子展開を行ったことがわかる。余因子展開を行うと、\[\begin{align*}
-3 \left| \begin{array}{ccc} 3 & 0 & -2 & 0 \\ -2 & 0 & 1 & -1 \\ 5 & 2 & 1 & 1 \\ 5 & 0 & -3 & 0 \end{array} \right| & = (-3) \cdot (-1)^{2+3} \cdot 2 \left| \begin{array}{ccc} -3 & \left[ \ \ 46 \ \ \right] & 0 \\ -2 & 1 & -1 \\ 5 & -3 & 0 \end{array} \right|
\\ & = (-3) \cdot (-2) \left| \begin{array}{ccc} 3 & -2 & 0 \\ -2 & 1 & -1 \\ 5 & -3 & 0 \end{array} \right|
\end{align*}\]のように変形できる。
よって、[ 45 ] の答えは -2、[ 46 ] の答えは -2 となる。
※ 余因子展開で、「(行数)+(列数) = 奇数」となる場合、行列式が-1倍となることを絶対に忘れないようにしましょう!!(私もたまにやらかします)
(2) 続きの変形をしていきましょう。\[\begin{align*}
|A| & = (-3) \cdot (-2) \left| \begin{array}{ccc} 3 & -2 & 0 \\ -2 & 1 & -1 \\ 5 & -3 & 0 \end{array} \right|
\\ & = 6 \cdot (-1) \cdot (-1)^{2+3} \left| \begin{array}{ccc} 3 & -2 \\ 5 & -3 \end{array} \right|
\\ & = 6 (-9 + 10)
\\ & = 6
\end{align*}\]となるため、[ 47 ] の答えは6。
No.44: -3 (2点)
No.45: -2 (2点)
No.46: -2 (2点)
No.47: 6 (4点)
問題10. 行列式 (Level. 2)
次の(1)〜(3)の問いに答えなさい。
(1) 次の行列式を計算しなさい。\[
\left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & -4 \\ -1 & -1 & 5 \\ 3 & -3 & 2 \end{array} \right| = \left[ \ \ 48 \ \ \right]
\]
(2) 次の行列式を計算しなさい。\[
\left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 & -4 \\ -1 & 1 & -1 & 5 \\ 2 & -3 & -2 & -1 \\ 3 & 2 & -3 & 2 \end{array} \right| = \left[ \ \ 49 \ \ \right]
\]
(3) 行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 & -4 \\ -1 & 1 & -1 & 5 \\ 2 & -3 & -2 & -1 \\ 3 & 2 & -3 & 2 \end{array} \right)
\]の逆行列 \( A^{-1} \) の2行3列成分、つまり\[
A^{-1} = \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ 50 \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] & \left[ \ \ \ \ \ \ \ \ \right] \end{array} \right)
\]の空欄 [ 50 ] に当てはまる数値を答え、入力しなさい。
まずは、行列式(特に4次以上)の計算の仕方を確認しましょう。
[基本的な方針]
- 4×4以上の行列の行列式は、以下の方法で3×3(できれば2×2)まで小さくすること
- 1つの行 or 列が n の倍数になっていれば、 1/n 倍して行列式の外に n を出す
- 余因子展開に持ち込むために、1つの行 or 列の成分を0にするように行基本変形 or 列基本変形をする
- 3×3 or 2×2の行列式はサラスの公式で求める。2×2まで余因子展開をするかどうかは自由。ちなみに私は変形する派です。
[注意点]
- 行に対する基本変形に加えて、列に対する基本変形も使えることを頭に入れておく
- 行( or 列)を入れ替えると、行列式の値は-1倍になる。計算ミスの原因にもなるので行、列の入れ替えは極力しないようにする
- i 行 j 列に余因子展開をするときに、i + jの値が奇数のときは-1倍されることを必ず頭にいれておく
※ 詳しい計算方法や、計算のコツなどはこちらの記事を参考にしてください
(1) 3×3なのでサラスを使っても、行基本変形を使ってもOK。せっかくなので行基本変形を使って解いてみましょう。\[\begin{align*}
\left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & -4 \\ -1 & -1 & 5 \\ 3 & -3 & 2 \end{array} \right| & = \left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & -4 \\ 0 & 0 & 1 \\ 3 & -3 & 2 \end{array} \right|
\\ & = 1 \cdot (-1)^{2+3} \left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 \\ 3 & -3 \end{array} \right|
\\ & = -1 (-3 - 3)
\\ & = 6
\end{align*}\]となるので、答え(行列式)は6。
(2) 4×4なのでまずは3×3に持ち込めるように余因子展開をしましょう。\[\begin{align*}
\left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 & -4 \\ -1 & 1 & -1 & 5 \\ 2 & -3 & -2 & -1 \\ 3 & 2 & -3 & 2 \end{array} \right|
& = \left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 & -4 \\ 0 & 2 & 0 & 1 \\ 0 & -5 & -4 & 7 \\ 0 & -1 & -6 & 14 \end{array} \right|
\\ & = 1 \cdot (-1)^{1+1} \left| \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 1 \\ -5 & -4 & 7 \\ -1 & -6 & 14 \end{array} \right|
\end{align*}\]となります。
ここで、行基本変形で求めるかサラスで求めるか迷うところですが、今回は0の成分が1つあり、ちょっと計算が楽そうな気もするのでサラスを使ってみましょう。\[\begin{align*}
& \left| \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 1 \\ -5 & -4 & 7 \\ -1 & -6 & 14 \end{array} \right|
\\ = & -112 + 0 + 30 - (4 + 0 - 84)
\\ = & -82 + 80
\\ = & -2
\end{align*} \]と計算できるので、答え(行列式)は-2。
(3)
この問題のように、ある逆行列の1つの成分の値だけを聞かれているときは、余因子から求めたほうが10倍以上早く逆行列が求まります。
今回は、逆行列 \( A^{-1} \) 2行3列の成分を知りたいので、\[\begin{align*}
A^{-1} & = \frac{1}{|A|} \left( \begin{array}{ccc} \Delta_{11} & \Delta_{12} & \Delta_{13} & \Delta_{14} \\ \Delta_{21} & \Delta_{22} & \Delta_{23} & \Delta_{24} \\ \Delta_{31} & \Delta_{32} & \Delta_{33} & \Delta_{34} \\ \Delta_{41} & \Delta_{42} & \Delta_{43} & \Delta_{44}\end{array} \right)^T
\\ & = \frac{1}{|A|} \left( \begin{array}{ccc} \Delta_{11} & \Delta_{21} & \Delta_{31} & \Delta_{41} \\ \Delta_{12} & \Delta_{22} & \textcolor{red}{\Delta_{32}} & \Delta_{42} \\ \Delta_{13} & \Delta_{23} & \Delta_{33} & \Delta_{43} \\ \Delta_{14} & \Delta_{24} & \Delta_{34} & \Delta_{44}\end{array} \right)
\end{align*} \]の赤色成分 \( \Delta_{32} \) と行列式 \( |A| \) で計算ができますね。
ここで、\( \Delta_{32} \) は(1)より、\[\begin{align*}
\Delta_{32} & = (-1)^{3+2} \left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & -4 \\ 0 & 0 & 1 \\ 3 & -3 & 2 \end{array} \right|
\\ & = -1 \cdot 6
\\ & = -6
\end{align*}\]と計算できる。また、(2)より \( |A| = -2 \) である。
よって、逆行列 \( A^{-1} \) の2行3列成分 \( A^{-1}_{23} \) は、\[\begin{align*}
A^{-1}_{23} & = \frac{\Delta_{32}}{|A|}
\\ & = \frac{-6}{-2}
\\ & = 3
\end{align*}\]と計算できる。
No.48: 6 (3点)
No.49: -2 (4点)
No.50: 3 (3点)
「最後の最後で 4×4 の逆行列とか絶対に捨て問だろ」と思うかもしれません。試験が前日で、80点以上を狙っている人でなければこの問題は捨てても大丈夫です。
ただ、80点以上を取りたい人はこのように、余因子から逆行列を求める方法を指定されたときしても解けるようになっておきましょう!
さいごに
今回の10個の大問は、以下の6個の題材から出題を行いました。
最後に記述式に備えて、行基本変形の矢印 → と等号 = について確認しましょう。
(1) 通常の行基本変形では、矢印 \( \to \) を使う。\[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 \\ 2 & 2 & 2 \\ 3 & 3 & 3 \end{array} \right) \to
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\]※矢印を使わずに = で書くと行列そのものが等しいことを表してしまう。
(2) 行列式に関する変形のみ等号 \( = \) を使う。\[
\left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 \\ 2 & 2 & 2 \\ 3 & 3 & 3 \end{array} \right| =
\left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right|
\]※変形によって行列式の値が変化しないことを強調したいため。
- 線形代数の知識チェック(10点)
- 行列の和・積の計算(10点)
- 行列の階数(30点)
- 逆行列(13点)
- 連立1次方程式(20点)
- 行列式(17点)
実際に解いて見て、あまり出来ない箇所があれば、参考書や記事などを見ながら勉強してください。
1年前期の線形代数の内容は、後期でも使われる他、微分方程式などの他の科目にも響いてくるので、苦手な分野は必ず潰してからテストに望みましょう。ファイト!!
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