
スポンサードリンク
こんにちは、ももやまです。
今回からいよいよ本格的に微分方程式の解き方について説明していきたいと思います。
まずは、1階微分方程式の中でも直接積分形の次に簡単な変数分離形について説明していきたいと思います。
※ なお、今回以降の記事では、特異解(一般解だけでは表せない解)を考慮していません。あらかじめご了承ください。
前回の微分方程式の記事はこちらです↓↓
目次 [hide]
スポンサードリンク
1.変数分離形とは
まず、今回説明する変数分離形とはどんな微分方程式で、どうやって解けるのかを説明しましょう。
1階常微分方程式
(ただし
変数分離形の微分方程式は上の式を両辺を
下のように、両辺に何かを掛けたり割ったりすることで左辺側を
意外と忘れがちですが、
(ただし
また、
なお、前回説明した直接積分形は、
(変数分離形の特殊なパターンが直接積分形)
スポンサードリンク
2.変数分離形の計算例
では、実際に変数分離形であらわされた微分方程式を解いてみましょう。
例題1
1階微分微分方程式
(1) 一般解を求めなさい。
(2) 初期条件
解説1
(1)
まず、変数分離形にするために左辺を
(両辺を
さらに、両辺を
よって、一般解は任意定数
(基本的に指示がない場合は y = の形に変形しなくてもOKです。y = の形に変形するときに間違えるのは非常にもったいないので……)
(2)
前回(Part00)の復習です。
初期条件
ここで、
よって、特解は
※もちろん
(今回は y = にした形の式から計算しましたが、基本的に y = にする前の式を使って任意定数
スポンサードリンク
3.応用例1 ニュートンの冷却の法則
皆さんは喫茶店やカフェなどで熱いコーヒーを頼んだことはありますか?
せっかく頼んだ熱いコーヒーも、しばらくすると冷めちゃいますね。
実はコーヒーなどの熱い飲み物が冷めるまでの速度(温度の下降速度)は、コーヒーの温度と室温の温度差に比例するのです! これをニュートンの冷却の法則と呼びます。
早速ニュートンの冷却の法則を使った例題を1問解いてみましょう。
例題2
たまにスターバッ〇スに通う私ももやまは、甘いものが大好きなので「ホワイトモカ」を注文した。
注文後に店員に用意していただいた「ホワイトモカ」は90℃と大変あったかいが、私がいた場所はなんと札幌! 外の気温はなんと-10℃だった! このままではすぐに冷めてしまう!
そこで、ふと私は「このホワイトモカっていつ冷めるんだろう?」と考えてみることにした。次の(1)~(3)の問いに答えなさい。
ただし、90℃のときから
(1)
(2) (1)の微分方程式の一般解と特解を求めなさい。
(3) 4分後に再びホワイトモカの温度を測定したところ70℃に低下していたことがわかった。8分後のホワイトモカの温度は何度に低下しているかを、比例定数
解説2
(1)
初期条件は、
また、ホワイトモカの下降速度
(2)
以下、
微分方程式
さらに、両辺を
よって、一般解は任意定数
ここで、初期値
(基本的に指示がない場合は y = の形に変形しなくてもOKです。y = の形に変形するときに間違えるのは非常にもったいないので……)
(3)
4分後に温度が70℃になっていたので、
よって、8分後の温度
なお、経過時間
ちなみに比例定数
4.応用例2 ロジスティック方程式
人間などの生物の個体数
しかし、食料不足などの問題が発生するため、人間や他の生物の人口の増加は無限に続かず、いつか増加の限界がやってきます。
そこで、生物の個体数(人口)
具体的には
この微分方程式
例題で具体的に解いてみましょう。
例題3
現在、最大10,000匹がすめるうさぎ島には100匹のうさぎが住んでいる。
この島のうさぎが増える速さ
このとき、つぎの(1)~(3)の問いに答えなさい。ただし、必要であれば
(1) ロジスティック方程式の一般解を求めなさい。
(2) 初期条件
(3) 10日後にうさぎ島のうさぎは1,000匹に増えていた。うさぎが5,000匹を超えるのは何日目かを、比例定数
( (3)は電卓を使ってもOK)
解説3
微分方程式
さらに、両辺を
ここで左辺の積分は、
(部分分数分解の積分が怪しいひとはこちらで復習すること!)
よって、一般解は、任意定数
式を変形していくと、
(2)
初期値
(3)
10日後に1,000匹になっていたので、
よって、
求めたいのは、5,000匹になる日にちなので、
問題文より
なお、ある日付
日数が経過すればするほど、限界値である
このグラフはロジスティクス曲線と呼ばれ、生物(今回はうさぎ)の増加具合を表しています。この曲線の特徴として、
- グラフがs字型の曲線を描く
- 最初は個体数が少ないので緩やかに増加
- 個体数が増えると増加速度が上がる
- 限界
に近くなると増加速度は下がる - 限界を迎えると増加速度は0になる
があります。
5.練習問題
では、3問ほど練習してみましょう。
2問が変数分離形の計算問題、残り1問が「放射線物質の崩壊」に関する文章問題となっております。
練習1
1階微分微分方程式
(1) 一般解を求めなさい。
(2) 初期条件
練習2
1階微分微分方程式
(1) 一般解を求めなさい。
(2) 初期条件
練習3 放射性物質の崩壊
放射性物質は、現在の物質量に比例した速さで崩壊(減衰)していく。この比例速度を
このとき、(1)~(5)の問いに答えなさい。必要であれば
(1) ある時刻
(2) (1) で求めた微分方程式の一般解を求めなさい。
(3) ある放射線物質の初期の量が10 [g]、つまり
(4) ある放射線物質の半減期は4日だった。(3)の特解から比例定数
(5) (4)の放射線物質が10[g]あるとする。10日後の放射線物質の量を有効数字2桁で求めなさい。
6.練習問題の答え
解答1
(1)
まず、変数分離形にするために左辺を
よって、両辺を
それぞれの積分計算は
よって、一般解は任意定数
ここで、
(2)
初期条件
ここで、(1)の解に
よって、特解は
y = の形の場合だと、
解答2
(1)
変数分離形にするために左辺を
両辺を
すると、
さらに、両辺を
よって、一般解は任意定数
なお、y = の形に変形すると
でも変形ミス多発するから自信のある人か指示されたとき以外はやめようね!
(2)
初期条件
ここで、(1)の解に
よって、特解は
y = の形の場合だと、
解答3
(1)
放射線物質の物質量
(2)
以下、
変数分離形にするために左辺を
よって、両辺を
よって、一般解は任意定数
なお、y = の形に変形すると
(3)
初期条件
ここで、(1)の解に
よって、特解は
y = の形の場合だと、
(4)
半減期が4日なので、
(5)
10日後なので、
なお、時間経過
7.さいごに
今回は、1階微分方程式の中でも簡単にとける変数分離形の微分方程式の解き方について説明し、応用例として
- ニュートンの冷却の法則
- ロジスティック方程式
- 放射線崩壊の崩壊速度
について紹介しました。
次回は、置き換えることで簡単に解くことができる同次形の微分方程式について説明していきたいと思います。
では、さらば!
関連広告・スポンサードリンク