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こんにちは、ももやまです。

前回は同次式の定数係数2階線形微分方程式の解き方について説明しました。

今回は、特殊な置き換えをすることで定数係数2階線形微分方程式の形に持ち込めるオイラーの微分方程式の解き方について説明していきたいと思います。

前回の微分方程式の記事はこちら!

www.momoyama-usagi.com

定数係数微分方程式の解き方がイマイチな人や全然わからない人は上の記事で必ず復習しましょう。

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1.オイラーの微分方程式とは

(2階の)オイラーの微分方程式とは、2階の線形微分方程式の中でも、x2d2ydx2+axdydx+by=R(x)となる微分方程式のことをいいます。

(ただし、a, b は定数、R(x)x だけの関数)

今回は、2階のオイラーの微分方程式の同次方程式x2d2ydx2+axdydx+by=0の一般解を求める方法について説明したいと思います。

(余談ですが、オイラーの微分方程式のことをオイラーの方程式と呼ぶこともあります。)

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2.オイラーの微分方程式の解き方

同次式のオイラーの微分方程式は、変数変換を行い、定数係数2階線形微分方程式の形に持ち込むことで、特性方程式を用いて解くことができます。

実際にオイラーの微分方程式x2d2ydx2+axdydx+by=0を定数係数2階線形微分方程式の形にしてみましょう。

t=logx とおくと、x=et,   dtdx=1xとなりますね。

ここで、t に関する定数係数2階線形微分方程式にするために、d2ydx2, dydxd2ydt2, dydx を用いて表してみましょう。

dydx=dtdxdydt=1xdydt

d2ydx2=ddx(dydx)=ddx(1xdydt)=ddx(1x)dydt+1xddx(dydt)=1x2dydt+1xdtdxddt(dydt)=1x2dydt+1x1xd2ydt2=1x2dydt+1x2d2ydt2=1x2(d2ydt2dydt)と表せますね。

※ 赤色部分は dtdx=1x を代入した部分
※ 青色部分は x に関する積の微分法を適用した部分

よって、オイラーの微分方程式をx2d2ydx2+axdydx+by= x2{1x2(d2ydt2dydt)}+ax(1xdydt)+by= d2ydt2dydt+adydt+by= d2ydt2+(a1)dydt+by=0と書き換えることができます。

実際に1問例題で解いてみましょう。

例題1

微分方程式x2d2ydx22xdydx+2y=0の一般解について、次の問いに答えなさい。

(1) x=et とおいて、定数係数2階微分方程式の形にしなさい。

(2) (1)で求めた微分方程式の一般解を求めなさい。

(3) 与えられた微分方程式の一般解を求めなさい。

解説1

(1)

x=et、つまり t=logx とおくことで、d2ydt23dydt+2y=0と定数係数2階微分方程式となる。

(2)

(1)で求めた微分方程式の一般解を求める。

特性方程式はk23k+2=0となるので、(k1)(k2)=0とすることにより、k=1, k=2 となる。

よって、(1) で求めた微分方程式d2ydt23dydt+2y=0の一般解は、任意定数 C1, C2 を用いてy=C1et+C2e2tとなる。

(3)

t=logx を代入することで、y=y(x) の形に戻す。

よって、x2d2ydx22xdydx+2y=0の一般解は、y=C1et+C2e2t=C1elogx+C2e2logx=C1elogx+C2elogx2=C1x+C2x2と求められる。

いちいちx2d2ydx2+axdydx+by=0から x=logt とおいて、d2ydt2+(a1)dydt+by=0と導出するのはめんどくさいので、形を頭に入れておくことをおすすめします。

x2, x を取っ払って、dydx の項を1減らす覚えると覚えやすいかと思います。)

余談 ちょっと横着な特性方程式の出し方

なお、少し横着ですが、y=xk とおき、dydx=kxk1   d2ydx2=k(k1)xk2としてからオイラーの微分方程式x2d2ydx2+axdydx+by= x2k(k1)xk2+axkxk1+bxk= (k2k)xk+akxk+bxk= k2xk+(a1)kxk+bxkとし、両辺を xk で割り、k2+(a1)k+b=0とすることで特性方程式を導出する方法もあります。

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3.オイラーの微分方程式の一般解の形

2階のオイラー微分方程式x2d2ydx2+axdydx+by=0の一般解の形は、t=logxx=et)とおき、d2ydt2+(a1)dydt+by=0としたときの特性方程式k2+(a1)k+b=0の解の形によって3パターンに分けられます。

具体的には、

  1. 特性方程式が異なる2つの実数解をもつとき
  2. 特性方程式が重解をもつとき
  3. 特性方程式が異なる2つの虚数解をもつとき

の3つに分けられます。

先に、解がどうなるかを書いておきましょう。

2階の同次式オイラー微分方程式の3つの解パターン同次式の2階オイラー微分方程式x2d2ydx2+axdydx+by=0の解のパターンは、t=logx とおき、同次式の定数係数2階線形微分方程式d2ydt2+(a1)dydt+by=0の特性方程式k2+(a1)k+b=0の2つの解 k1, k2 の形、つまり判別式D=(a1)24bによって決まる。

(i) k1, k2相異なる2つの実数解のとき
D>0

  • 基本解:xk1, xk2
  • 一般解:C1xk1+C2xk2

(ii) k1, k2重解k1=k2)のとき
D=0

  • 基本解:xk1, xk1logx
  • 一般解:C1xk1+C2xk1logx

(iii) k1, k2相異なる2つの(共役な)虚数解のとき
D>0

2つの解をそれぞれ k1=α+βi, k2=αβi と実部虚部に分けることで

  • 基本解:xαcos(βlogx), xαsin(βlogx)
  • 一般解:xα(C1cos(βlogx)+C2sin(βlogx))

の3パターンにわけられる。

1つずつ見ていきましょう。

(1) 特性方程式が異なる2つの実数解をもつとき

特性方程式k2+(a1)k+b=0が異なる2つの実数解 k1, k2 をもつとき、つまり判別式 DD=a24b>0となるとき、y=y(t) の形で表された微分方程式d2ydt2+(a1)dydt+by=0の基本解は ek1t, ek2t となりますね。

この2つの基本解を t=logx を代入することで元に戻すと、ek1t=ek1logx=elogxk1=xk1ek2t=ek2logx=elogxk2=xk2となり、オイラー微分方程式x2d2ydx2+axdydx+b=0の基本解が xk1, xk2 となり、一般解を任意定数 C1, C2 を用いてy=C1xk1+C2xk2と表すことができます。

(2) 特性方程式が重解となるとき

特性方程式k2+(a1)k+b=0が重解 k1=k2 となるとき、つまり判別式 DD=a24b=0となるとき、y=y(t) の形で表された微分方程式d2ydt2+(a1)dydt+by=0の基本解は ek1t, tetk1 となりますね。

この2つの基本解を t=logx を代入することで元に戻すと、ek1t=ek1logx=elogxk1=xk1tetk1=logxek1logx=logxelogxk1=xk1logxとなり、オイラー微分方程式x2d2ydx2+axdydx+b=0の基本解が xk1, logxk1 となり、一般解を任意定数 C1, C2 を用いてy=C1xk1+C2xk1logxと表すことができます。

(3) 特性方程式が共役な虚数解となるとき

特性方程式k2+(a1)k+b=0が共役な虚数解 k1, k2 となるとき、つまり判別式 DD=a24b<0となるとき、y=y(t) の形で表された微分方程式d2ydt2+(a1)dydt+by=0の基本解は、特性方程式の解を k1=α+βi, k2=αβi とおくことで、eαtsinβt, eαtcosβt となりますね。

この2つの基本解を t=logx を代入することで元に戻すと、eαtsinβt=eαlogxsin(βlogx)=elogxαsin(βlogx)=xαsin(βlogx)eαtcosβt=eαlogxcos(βlogx)=elogxαcos(βlogx)=xαcos(βlogx)となり、オイラー微分方程式x2d2ydx2+axdydx+b=0の基本解が xαsin(βlogx), xαcos(βlogx) となり、一般解を任意定数 C1, C2 を用いてy=C1xαsin(βlogx)+C2xαcos(βlogx)と表すことができます。

4.練習問題

では、5問ほど練習しましょう。

練習1

微分方程式x2d2ydx2+6xdydx+6y=0の一般解を求めなさい。

練習2

微分方程式x2d2ydx2xdydx+2y=0の一般解を求めなさい。

練習3

微分方程式x2d2ydx23xdydx+4y=0の一般解を求めなさい。

練習4

微分方程式d2ydx22x2y=0の一般解を求めなさい。

練習5

微分方程式d2ydx21xdydx+1x2y=0の一般解を求めなさい。

5.練習問題の答え

解答1

x=logt とすることで、微分方程式をd2ydt2+5dydt+6y=0と変形できる。この微分方程式の特性方程式はk2+5k+6=0となるので、(k+2)(k+3)=0とすることで k=2,3 となる。

よって、一般解は任意定数 C1, C2 を用いてy=C1e2t+C2e3t=C1x2+C2x3=C1x2+C2x3となる。

解答2

x=logt とすることで、微分方程式をd2ydt22dydt+2y=0と変形できる。この微分方程式の特性方程式はk2+2k+2=0となるので、k=2±482とすることで k=1±i となる。

よって、一般解は任意定数 C1, C2 を用いてy=C1etsint+C2etcost=C1xsin(logx)+C2xcos(logx)となる。

解答3

x=logt とすることで、微分方程式をd2ydt24dydt+4y=0と変形できる。この微分方程式の特性方程式はk24k+4=0となるので、(k2)2=0とすることで k=2 の2重解となる。

よって、一般解は任意定数 C1, C2 を用いてy=C1e2t+C2te2t=C1x2+C2x2logxとなる。

解答4

見た目はオイラー微分方程式には見えないが、両辺を x2 倍すると、x2d2ydx22y=0となり、オイラー微分方程式となる。

x=logt とすることで、微分方程式をd2ydt2dydt2y=0と変形できる。この微分方程式の特性方程式はk2k2=0となるので、(k2)(k+1)=0とすることで k=1,2 となる。

よって、一般解は任意定数 C1, C2 を用いてy=C1et+C2e2t=C1x1+C2x2=C1x+C2x2となる。

解答5

見た目はオイラー微分方程式には見えないが、両辺を x2 倍すると、x2d2ydx2xdydx+y=0となり、オイラー微分方程式となる。

x=logt とすることで、微分方程式をd2ydt22dydt+y=0と変形できる。この微分方程式の特性方程式はk22k+1=0となるので、(k1)2=0とすることで k=1 の2重解となる。

よって、一般解は任意定数 C1, C2 を用いてy=C1et+C2tet=C1x+C2xlogxとなる。

6.さいごに

今回は、2階のオイラー微分方程式を、定数係数2階線形微分方程式におきかえてから解く方法について説明しました。

次回からは、非同次の線形微分方程式の解き方のうちの1つである未定係数法について説明していきたいと思います。

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