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こんにちは、ももやまです。
今回も積分についての記事となります。
置換積分の中でも、カッコ・ルートなどの中身を微分したものが被積分関数の中に含まれている場合の置換積分の省略技を紹介します。
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1.置換積分の省略
皆さんは、カッコ(やルート)で囲まれた式の微分を思い出してください。
例えば、\( (2+x^2)^3 \) の微分はどのように計算しますか?
おそらく、
- カッコの外の微分 \( ( \ \ \ \ )^3 \) をする
- カッコの中身( \( 2 + x^2 \) )の微分を掛ける
にわけて微分しますよね。
カッコの外の微分をすると、\( 3 ( \ \ \ \ )^2 \) となり、カッコの中身を微分すると、\( 2x \) となりますね。
なので、\[ \frac{d}{dx} (2+x^2)^3 = 3 \cdot 2x (2+x^2)^2 = 6x(2+x^2)^2 \]となりますね。
これを逆に適応したのが置換積分の省略形です。
ということで、先程微分したものを積分して戻してみましょう。
例題1
\[ \int 6x (2 + x^2)^2 \ dx \]を積分しなさい。
解説1
試しに先程微分した結果を積分して戻してあげましょう。\[ \int 6x (2 + x^2)^2 \ dx \]
カッコの中身( \( 2 + x^2 \) )がありますね。これを微分すると、\( 2x \) となります。
ちょうどカッコの中に \( 6x \) がありますね。 \( 6x \) は \( 2x \) の3倍なので、つぎのように変形します。\[ \int 6x (2 + x^2)^2 \ dx = 3 \int 2x (2 + x^2)^2 \ dx \]ここで、先程の過程2のカッコの微分の中身を掛ける過程の逆を行います。
過程2が終わったら、過程1のカッコの外の微分の逆を行います(外の積分)。これを行うと、\[ 3 \int 2x (2 + x^2)^2 \ dx = (2+x^2)^3 + C \]と計算することができます。
カッコ・ルートの中身を微分した結果が被積分関数内に含まれている場合
- カッコの中身の微分結果で割る
- カッコの外の積分を行う
により、置換積分せずに(過程を省略して)結果を出すことができる。
数式で表すと、\[ \int f'(g(x)) g'(x) \ dx = \int f(t) \ dt \]となります。
(省略公式では \( t = g(x) \) とおいてるのを省略して一気に計算している)
ちなみに先程の積分を置換積分で解いてみます。
\( t = 2 + x^2 \) とおくと、\( dt = 2x \ dx \) となり、\( dx = \frac{1}{2x} dt \) となる。
\[\begin{align*} \int 6x (2 + x^2)^2 \ dx & = \int 3 t^2 \ dt
\\ & = t^3 = (2+x^2)^3
\end{align*} \]となります。
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2.中身がルートの場合
中身がルートの場合でも試してみましょう。
例題2
\[ \int^{1}_0 x \sqrt{1 -x^2} \ dx \]を積分しなさい。
(1) まともに置換積分
まずは普通に置換積分をしてみましょう。
\( t = \sqrt{1-x^2} \) とします。すると、\( t^2 = 1- x^2 \) となり、\( 2t dt = -2x dx \) となるので、\( dx = -\frac{t}{x} \) となります。
また、積分範囲が \( 0 \to 1 \) から \( 1 \to 0 \) に変わることに要注意です。
\[\begin{align*} \int^{1}_0 x \sqrt{1 -x^2} \ dx & =
\int^{0}_1 x t \cdot \left( -\frac{t}{x} \right) \ dt \\ & =
\int^{0}_1 -t^2 \ dt \\ & =
\int^{1}_0 t^2 \ dt \\ & =
\left[ \frac{1}{3} t^3 \right]^{1}_0 = \frac{1}{3}
\end{align*} \]
と計算できますね。
ですが、いちいち計算するのは大変ですね。
(2) 置換積分省略法
ここで、\( x \sqrt{1 -x^2} \) のルートの中身が \( 1- x^2 \) ですね。
これを微分すると、\( -2x \) となりますね。
\( x \) は、\( -2x \) の \( -1/2 \) 倍ですね。なので、調整してあげます。
\[ \begin{align*}
\int^{1}_0 x \sqrt{1 -x^2} & = - \frac{1}{2} \int^{1}_0 -2x \sqrt{1 -x^2}
\\ & = - \frac{1}{2} \left[ \frac{2}{3} \cdot \left( 1 - x^2) \right)^{\frac{3}{2}} \right]^{1}_0
\\ & = \ - \frac{1}{3} \cdot (-1) = \frac{1}{3}
\end{align*} \]と計算できます。
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3.分子が分母の微分した形の場合
分子が分母を微分したような形になっている場合も置換積分を省略することができます。
1で説明したカッコ・ルートの中身が被積分関数に含まれている場合の、カッコの外が -1 乗のパターンとおなじです。
\[ \int \frac{ f'(x)}{f(x)} \ dx = \log | f(x) | + C \]
多くの教科書や参考書にも書かれている公式です。
例題3
\[ \int \frac{x}{1+x^2} \ dx \]を計算しなさい。
解説3
分母の \( 1+x^2 \) を微分すると \( 2x \) となり、上記の省略公式が適用できる。
\[ \begin{align*}
\int \frac{x}{1+x^2} \ dx & = \frac{1}{2} \int \frac{2x}{1+x^2} \ dx \\ & = \frac{1}{2} \log \left( 1 + x^2 \right)
\end{align*} \]と計算できる(\( \log \) の絶対値を外したのは中身が必ず正になるからです。別に外さなくてもOK。)
4.e^x の置換省略
中身がカッコ・ルート・分数以外でも省略公式が適用できることがあります。
例題4
\[ \int x e^{x^2} \ dx \]を計算しなさい。
解説4
\( e \) の指数部 \( x^2 \) を微分すると \( 2x \) となりますね。
なので、\[ \begin{align*} \int x e^{x^2} \ dx & = \frac{1}{2} \int 2x e^{x^2} \ dx
\\ & = \frac{1}{2} e^{x^2} + C
\end{align*} \]と計算できます。
5.練習問題
では、実際に練習してみましょう!
練習
つぎの不定積分・定積分を計算しなさい。
積分定数は \( C \) としてもよいし省略しても構いません。
(1) \[ \int \frac{x}{\sqrt{1-x^2}} \ dx \]
(2) \[ \int x \sqrt{3x^2 + 1} \ dx\]
(3) \[ \int^{\frac{\pi}{2}}_0 \frac{ \cos x}{1 + \sin x} \ dx \]
(4) \[ \int \frac{1}{(1+x)^3} \ dx\]
(5) \[ \int^{e^3}_{e^2} \frac{1}{x \left( \log x - 1 \right)} \ dx\]
(6) \[ \int \tan x \ dx \]
(7) \[ \int^{\frac{\pi}{2}}_0 \sin^3 x \cos x \ dx \]
(8) \[ \int \frac{1}{\sin x} \ dx \]
6.練習問題の解説
(1) \[ \begin{align*}
\int \frac{x}{\sqrt{1-x^2}} \ dx & = - \frac{1}{2} \int \frac{-2x}{\left(1 - x^2 \right)^{\frac{1}{2}}} \\ & = - \frac{1}{2} \cdot 2 \left( 1-x^2 \right)^{\frac{1}{2}} + C
\\ & = - \left( 1-x^2 \right)^{\frac{1}{2}} + C
\\ & = - \sqrt{ 1 - x^2 } + C
\end{align*} \]
(2) \[ \begin{align*}
\int x \sqrt{3x^2 + 1} \ dx & = \frac{1}{6} \int 6x \sqrt{3x^2 + 1} \ dx
\\ & = \frac{1}{6} \cdot \frac{2}{3} \left(3x^2 + 1 \right)^{\frac{3}{2}} + C
\\ & = \frac{1}{9} \left(3x^2 +1 \right) \sqrt{3x^2 +1} + C
\end{align*} \]
(3) \[ \begin{align*} &
\int^{\frac{\pi}{2}}_0 \frac{ \cos x}{1 + \sin x} \ dx
\\ = & \left[ \log ( 1 + \sin x) \right]^{\frac{\pi}{2}}_0
\\ = & \log 2 - \log 1 = \log 2
\end{align*} \]
(4) \( 1+x \) を微分すると1となり、実はカッコの中を微分すると
\[ \begin{align*}
\int \frac{1}{(1+x)^3} \ dx & = \int (1+x)^{-3} \ dx
\\ & = - \frac{1}{2} (1+x)^{-2} + C \\ & = - \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{(1+x)^2} + C
\end{align*} \]
(5) \[ \begin{align*}
\int^{e^3}_{e^2} \frac{1}{x \left( \log x - 1 \right)} \ dx
& = \int^{e^3}_{e^2} \frac{\frac{1}{x}}{ \log x - 1 }\ dx
\\ & = \left[ \log \left| \log x - 1 \right| \right]^{e^3}_{e^2}
\\ & = \log 4 - \log 2 = \log 2
\end{align*} \]
(6) \( \tan x \) を変形してうまく分子が分母の微分形につなげるのがコツ
\[ \begin{align*}
\int \tan x \ dx & = \int \frac{\sin x}{\cos x} \ dx
\\ & = - \int \frac{- \sin x}{\cos x} \ dx
\\ & = - \log | \cos x | + C
\end{align*} \]
(7) \( (\sin x)^3 \) なので省略公式に持ち込める
\[ \begin{align*}
& \int^{\frac{\pi}{2}}_0 \sin^3 x \cos x \ dx \\ = & \left[\frac{1}{4} \sin^4 x \right]^{\frac{\pi}{2}}_0
= \frac{1}{4}
\end{align*} \]
(8) 倍角の公式とかなり難しい発想が必要。
これが解けた人はかなりの力がありますね!\[ \begin{align*}
\int \frac{1}{\sin x} \ dx & = \int \frac{1}{2 \sin \frac{x}{2} \cos \frac{x}{2}} \ dx
\\ & = \int \frac{\cos \frac{x}{2}}{\sin \frac{x}{2}} \cdot \frac{1}{2 \cos^2 \frac{x}{2}} \ dx
\\ & = \int \frac{\frac{1}{2 \cos^2 \frac{x}{2}}}{\tan \frac{x}{2}} \ dx
\\ & = \log \left| \tan \frac{x}{2} \right| + C
\end{align*} \]
7.さいごに
今回は、置換積分の省略公式(中身の微分が被積分関数に含まれている場合)の説明をしました。
積分はとにかく計算練習をすることで計算時間を減らすことができるのでどんどん練習しましょう!
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