スポンサードリンク
こんにちは、ももやまです。
今回は同次形微分方程式を解く方法について解説していきたいと思います。
前回の微分方程式の記事はこちら↓↓
変数分離形の解き方を忘れてしまった人は、必ず上にある記事で確認しましょう。
スポンサードリンク
1.同次形とは
前回(Part01)で、変数分離形を用いて微分方程式を解く方法を説明しました。
しかし、\[
\frac{dy}{dx} = \frac{x^2 + y^2}{xy}
\]のように、変数分離形に持ち込めない1階微分方程式もたくさんあります。
そこで、\( u = \frac{y}{x} \)、つまり\( y = xu \) と置き換えることを考えてみましょう。
すると、\[ \begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = \frac{x^2 + y^2}{xy}
\\ & = \frac{x^2}{xy} + \frac{y^2}{xy}
\\ & = \frac{x}{y} + \frac{y}{x}
\\ & = \frac{1}{u} + u
\end{align*} \]と、\( u \) だけの式、つまり\[
\frac{dy}{dx} = f \left( \frac{y}{x} \right) = f(u)
\]の形に変形することができますね。このような微分方程式のことを同次形と呼びます。
1階微分方程式を変形することで\[
\frac{dy}{dx} = f \left( \frac{y}{x} \right)
\]の形にできる微分方程式を同次形と呼ぶ。
同次形の微分方程式の解き方は、まず \( u = \frac{y}{x} \)、つまり \( y = ux \) とおくことで、\[
\frac{dy}{dx} = f \left( \frac{y}{x} \right) = f(u) \tag{1}
\]とする。さらに、\( y = ux \) の両辺を \( x \) で微分すると、\[
\frac{dy}{dx} = u' \cdot x + u \cdot x' = \frac{du}{dx} x + u \tag{2}
\]となる。(右辺は積の微分公式)
(1), (2)より、\[
\frac{du}{dx} x + u = f(u) \]\[
x \frac{du}{dx} = f(u) - u
\]となるので、\[
\frac{1}{f(u) - u} \frac{du}{dx} = \frac{1}{x} \ dx
\]と変数分離形に持ち込める。
(ただし、\( f(u) - u \not = 0 \), \( x \not = 0 \) に注意。特異解を考えるのであれば、\( f(u) - u = 0 \), \( x = 0 \) の場合を個別に判定すること。)
あとは、両辺を \( x \) で積分、つまり\[
\int \frac{1}{f(u) - u} \ du = \int \frac{1}{x} dx
\]を解き、\( u \) と \( x \) の関係式を求め、\( u = \frac{y}{x} \) を代入することで一般解を求めることができる。
スポンサードリンク
2.同次形の計算例
では、実際に例題で解き方を確認していきましょう。
なお、本来は特異解を考える必要があるのですが、今回は特異解は考えないこととし、一般解を出す方法だけを説明します。
例題2
1階微分方程式\[
\frac{dy}{dx} = \frac{x^2 + y^2}{xy}
\]の一般解を求めなさい。
解説2
変数分離形では解けそうにないので、\( u = \frac{y}{x} \)、つまり \( y = ux \) とおく。
すると、\[\begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = \frac{x^2 + y^2}{xy}
\\ & = \frac{x^2}{xy} + \frac{y^2}{xy}
\\ & = \frac{x}{y} + \frac{y}{x}
\\ & = \frac{1}{u} + u \tag{1}
\end{align*} \]と変形ができる。
ここで、\( y = ux \) の両辺を \( x \) で微分すると、\[
\frac{dy}{dx} = \frac{du}{dx} x + u \tag{2}
\]が成立する。
よって、(1), (2)より\[
\frac{du}{dx} x + u = \frac{1}{u} + u \]\[
x \frac{du}{dx} = \frac{1}{u}
\]が成立するので、\[
u \frac{du}{dx} = \frac{1}{x}
\]とすると、変数分離形となる。
両辺を \( x \) で積分すると、\[
\int u \frac{du}{dx} \ dx = \int \frac{1}{x} \ dx
\]となるので、\[
\int u \ du = \int \frac{1}{x} \ dx
\]を計算することで一般解が求まる*1。
よって、一般解は任意定数 \( C \) を用いて、\[
\frac{1}{2} u^2 = \log |x| + C
\]と求められ、\( u = \frac{y}{x} \) を代入し、元に戻すと\[
\frac{y^2}{x^2} = 2 \log |x| + C
\]となる。
任意定数を \( \log A = C \) とすると、\[
\frac{y^2}{x^2} = 2 \log |x| + \log A \]\[
y^2 = x^2 \log A |x|
\]と書き換えることができる。
スポンサードリンク
3.同次形かどうかの判別法
とは言っても、見た目だけでは同次形にできるかどうか判断が難しいことがあります。
そこで、慣れないうちは元の式の \( x \), \( y \) を \( x \to kx \), \( y \to ky \) のように \( k \) 倍してみましょう。
例えば、\[
\frac{dy}{dx} = \frac{x^2 + y^2}{xy}
\]の場合だと、\[\begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = \frac{(kx)^2 + (ky)^2}{k^2 xy}
\\ & = \frac{k^2 (x^2 + y^2)}{k^2 xy}
\\ & = \frac{x^2 + y^2}{xy}
\end{align*} \]と、\( k \) をすべて消すことができますね。
このように、元の式の \( x \), \( y \) を \( x \to kx \), \( y \to ky \) のように \( k \) 倍したときに、\( k \) をすべて消すことができれば同次形にできます。*2。
4.練習問題
では少ないですが、2問ほど練習してみましょう。
練習1
1階微分方程式\[
\frac{dy}{dx} = \frac{2x-y}{x}
\]の一般解を求めなさい。
練習2
1階微分方程式\[
\frac{dy}{dx} = \frac{x-y}{x+y}
\]の一般解を求めなさい。
5.練習問題の答え
解説1
変数分離形では解けそうにないので、\( u = \frac{y}{x} \)、つまり \( y = ux \) とおく。
すると、\[\begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = \frac{2x - y}{x}
\\ & = 2 - \frac{y}{x}
\\ & = 2 - u \tag{1}
\end{align*} \]と変形ができる。
ここで、\( y = ux \) の両辺を \( x \) で微分すると、\[
\frac{dy}{dx} = \frac{du}{dx} x + u \tag{2}
\]が成立する。
よって、(1), (2)より\[
\frac{du}{dx} x + u = 2 - u \]\[
x \frac{du}{dx} = 2 - 2u
\]が成立するので、\[
\frac{1}{1-u} \frac{du}{dx} = \frac{2}{x}
\]とすると、変数分離形となるので、両辺を \( x \) で積分し、\[
\int \frac{1}{1-u} \ du = \int \frac{2}{x} \ dx
\]を計算することで一般解が求まる*3。
よって、一般解は任意定数 \( C \) を用いて、\[
- \log | 1 - u | = 2 \log |x| + C \]\[
\log \left| 1 - \frac{y}{x} \right| = - 2 \log |x| + C
\]と求められる。
\[
\log \left| 1 - \frac{y}{x} \right| = - 2 \log |x| + C \]\[
\log \left| 1 - \frac{y}{x} \right| + \log |x^2| = C \]\[
\log \left| x^2 \left( 1 - \frac{y}{x} \right) \right| = C \]\[
x^2 - xy = e^C \]
と変形し、任意定数を \( A = e^C \) とおきかえることで、\[
x^2 - xy = A \]\[
y = x - \frac{A}{x}
\]と一般解を表せる。
解説2
変数分離形では解けそうにないので、\( u = \frac{y}{x} \)、つまり \( y = ux \) とおく。
すると、\[\begin{align*}
\frac{dy}{dx} & = \frac{x - y}{x + y}
\\ & = \frac{1 - \frac{y}{x} }{ 1 + \frac{y}{x} }
\\ & = \frac{1 -u}{1 + u} \tag{1}
\end{align*} \]と変形ができる。
ここで、\( y = ux \) の両辺を \( x \) で微分すると、\[
\frac{dy}{dx} = \frac{du}{dx} x + u \tag{2}
\]が成立する。
よって、(1), (2)より\[
\frac{du}{dx} x + u = \frac{1 -u}{1 + u} \]\[
x \frac{du}{dx} = \frac{-u^2 - 2u + 1}{1 + u}
\]が成立するので、\[
- \frac{1+u}{u^2 + 2u - 1} \frac{du}{dx} = \frac{1}{x}
\]とすると、変数分離形となるので、両辺を \( x \) を積分し、\[
- \int \frac{1+u}{u^2 + 2u - 1} \ du = \int \frac{1}{x} \ dx
\]を計算することで一般解が求まる。
ここで、左辺の積分は\[\begin{align*}
\int \frac{1+u}{u^2 + 2u - 1} \ du & = \frac{1}{2} \int \frac{2u + 2}{u^2 + 2u - 1}
\\ & = \frac{1}{2} \log | u^2 + 2u - 1 |
\end{align*} \]と計算できる。(任意定数省略)
よって、一般解は任意定数 \( C \) を用いて、\[
- \frac{1}{2} \log | u^2 + 2u - 1 | = \log |x| + C \]\[
\log \left| \frac{y^2}{x^2} + 2 \frac{y}{x} - 1 \right| = - 2 \log |x| + C
\]と求められる。
\[
\log \left| \frac{y^2}{x^2} + 2 \frac{y}{x} - 1 \right| + 2 \log |x| = \log e^C \]\[
\log \left| \frac{y^2}{x^2} + 2 \frac{y}{x} - 1 \right| + \log |x^2| = \log e^C \]\[
\log \left| x^2 \left( \frac{y^2}{x^2} + 2 \frac{y}{x} - 1 \right) \right| = \log e^C \]
と変形し、任意定数を \( A = e^C \) とおきかえることで、\[
y^2 + 2xy - x^2 = A
\]と一般解を表せる。
6.さいごに
今回は、同次形の微分方程式について解く練習をしていきました。
次回は1階微分方程式の中でも、線形な微分方程式やベルヌーイ微分方程式の解き方について説明していきたいと思います。
ではまた次回!
*1:特異解を考える必要があれば、\( x \not = 0 \) に注意する。
*2:\( x \), \( y \) を両方 \( k \) 倍しても、\( \frac{ky}{kx} = \frac{y}{x} \) なので、もし式を \( \frac{y}{x} \) の形にできるのであれば、\( x \), \( y \) を \( k \) 倍しても式には \( k \) は残らないから。
*3:\( u \not = 1 \), \( x \not = 0 \) に注意。以降は省略するが、変数分離形の際には分母が0のときは例外的に考える必要がある点に注意しましょう。特異解となることがあるので。
関連広告・スポンサードリンク